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■第三十話
津田山霊園で:改定版2
注:この作品は当サイトのメルマガ「路地裏通信」で公開したものです。

桜並木の奥にたたずむ異様

それは1m80cmはあったであろうか…。
ぼんやりとした白い霧状の細長い物体≠ェ墓地に続く道の奥に、何とも形容し難い異様な雰囲気でたたずんでいた。


「なんだ…アレは?」

「あの白く細長い物体は何なんだ…」


いかにも現実の物とは思えない、その物体≠目の前にし、もはやそんな言葉しか出で来なかった。
その驚愕した雰囲気を察したのか、某コンビニ・マネージャー様が私に問う。


「え?どうしたの?」


私は彼に、桜並木の奥にたたずむ例の物体≠フ存在を伝えた。
すると…


「見えない…見えないよ!」


あの細長い霧状の物体が、某コンビニ・マネージャー様には見えないらしい。


「なんでだよ!この道の奥に白いのがどーん≠ニ立ってるじゃんか!」


私が必死になり、その物体≠フ姿を説明するも、やはり


「見えない…」


といった答えしか返ってこない。


私には見えて彼には見えない


この事実に、更なる恐怖心が芽生える。
私が見えるその物体≠ヘ、彼の視界からは消えているのだ。
「普通ではない」事は容易に想像出来た。

しかし「彼には見えず私は見える」と言う事は、単に私の目の錯覚≠ニ言えなくもない。
いや、確かに私の目には、その白い物体≠ヘ見えている。
絶対に見えている…でも…やはり目の錯覚なのかな…

物体≠目の前にしつつも、半信半疑となり始めた私だが、その時に同伴していた女性が突然


「見える…」


とつぶやいた。
私には見えて彼には見えない物体≠ヘ、彼女には見えていたのだ。


「ホラ…この道の奥で白いのが立ってるよ」


彼女は、私が見えたとおりの状況を説明していた。
状態が霧状であること、かなりの高さであること、そして細くぼんやりとしていたこと…。


恐怖心に支配された私達は、結局墓地内に侵入することなく現地を離れた。
行った矢先に、そんな白い霧状の物体≠目撃して、なおかつその中に潜入するほど我々には根性がなかった。

帰路の車中は、行きとは正反対で、それは暗いものであった。
それも致し方ないか…あんな経験をしてしまったのだから…。

そんな帰路の途中、後部座席に座っていた私が、

なぜか突然…


その3へつづく…

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