■第二十五話
真夏の夜のトンネル
〜10年前の出来事を改めて振り返って〜

注:この作品は当サイトのメルマガ「路地裏通信」で公開したものです

■その1:あの時代の私…



今からもう10年以上前の出来事…

学生生活から社会人生活に環境が変わり、

その慌しい毎日にも慣れ始めた頃の思い出…

蒸暑い夏の夜に訪れた、海辺から程近いトンネルでの思い出…




高校を卒業し、約1年間のフリーター生活を経て、
東京都内某所に本社を構える某社に就職する事となった。
配属先は、神奈川県横浜市の某支店となり、
自宅からは比較的近い場所の勤務に、ホッと胸をなで下ろしていた。

学生生活とはガラリと変わった生活環境に戸惑いながらも、
同じ職場の年齢も程近い仲間と知り合い、お互いの仕事ぶりに刺激しあい
ときに悩みを打ち明けあい、ときに下らない冗談を語らいながら酒を飲み交わし
ときどき喧嘩もしながら…
辛い業務内容も、分かち合う仲間が増えていくにつれ
徐々に楽しく思えてくるようになっていった。

当時の楽しみと言えば、やはり勤務後のディスカッション・タイムだ。
酒を飲みに行くのは勿論のこと、年齢の近い仲間と数人で
ファミレスなどで食事を摂ったり深夜のドライブに出掛けたりと…
翌日の業務の事など全く気にせず、明け方まで遊んでいたのが懐かしい。

冬などは外気の冷たさのためか、どちらかと言えば温かい場所を好み
そうした場所を選んで集まったものだが、夏ともなれば気持ちも少々違ってくる。
真夏の独得の開放感が成せる業か、それとも単に“夕涼み”を求めるのか…
これも一眼には言えないのだが、どちらかと言えば
“外の空気”を求め。様々な場所に仲間と出歩く機会が多かった気がする。
誰かしらが突然


「××に行こうぜ」


などと言えば、即座に実行に移すあの頃…。
誰もが一度は経験したであろう、こういった無計画な時の過ごし方。
そんな時間が、私はとても好きであった。


綺麗な夜景が見える場所

夏の夜の海

もの寂しげな湖

そして何かが漂っていそうな“心霊スポット”


どれをとっても、その当時の情景を思い出させる、
私にとっての思い出であり、それが時を経た今でも強く心に残っている。
当時の仲間の笑顔や、悩みを打ち明けた時の苦しげな顔。
頬を赤らめながら綴った恋文、転勤を言い渡され嘆き悲しんだ友人と私。
愚痴、喧嘩、抱擁、出逢い、別れ…


そして恐怖…


どの話を書いたとしても、多くの文章を懐かしさに眉を
顰めながら書き綴れそうだかここではその中の


“恐怖”


について、当時を思い出しながら懐かしみながら書いていこうと思う。

あの“トンネル”を過ぎた後に待ち受けていた様々な出来事を…。


つづく…

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