【路地裏】【体験談トップ】【管理者体験談】【読者体験談】【作品投稿
■第九話
私の母校の噂話

私の高校には「七不思議」とまではいきませんでしたが、不思議な出来事が起こると言う噂が幾つかありました。
その全てははっきりいって思い出せません。
ウサン臭くで、真実味も無く、また学校の先生が笑いながら話していただけに

「ああこれはウソだな」

と直感的に思ってしまったからです。

私は高校在住時、陸上部に所属していまして、その部室は体育館の裏のとても湿気の多い所でした。
部活動は夜遅くまで行い、部室に戻るのは、冬なんかは本当に「真っ暗」で、あの場にもし一人でいたなら心細くて「ゾクッ」としてしまうような場所でした。

ある日、部活が終わり帰宅途中に部室に忘れ物をした事に気付き、やむなく部室へ戻ったことがあった。
夜の9時くらいてあったと思います。
私は「誰かしら学校にいるだろう」と思い戻ってみると、意外な事に誰もいない…。
その途端に背筋に冷たいモノを感じた。

「気味が悪いな」

なんて独り言を言いながら部室へ到着。
忘れ物である陸上用のスパイクを早々と取り、足早に部室を後にする。

体育館脇の道を通り校庭へと向かう。
ふと鳴り響く、体育館の中でボールをドリブルする音。

「なんだ…まだバスケ部やってんじゃん」

と思い一人でない事にほっとする。

待てよ?
各部室の電気は全て消灯しているのは確認済みだ。
なぜドリブルの音がする?
体育館に目を向けてみる。
暗い…電気が全くついていない!!
見える物といったら非常灯のあの明かりだけである。


「おいおい…おどかすなよ」


また独り言だ。
構わず学校を後にしよう。

でも見てみたい!!

怖いから帰ろう…

私の心の中で好奇心と恐怖心が交差する。

結局隙間から覗く。
好奇心か勝ったようだ。
薄暗い体育館の中、暗闇に目が慣れていたらしく、結構見えるものだが何も見えない。

視界がゼロなのではなく、何もいない。
では何故ドリブルの音がするんだ?
その時には音は鳴り止んでいた。

何もないのである意味ほっとする。
さあ帰ろうと思ったその時、


「ダン!!」


1回だけボールをドリブルする音!!
身体が硬直する。
もう一度何も考えずに体育館を見る。


「!!!」


声をあげそうになるのをこらえる作業はしんどい。
先程は何も無かった体育館の中に、白い霧状…というより。半物体化したエクトプラズム状の霊が走っているではないか!!
走っている音は無い。
滑るように走っている。

その時である。
私が覗いている目の前にバスケのボールが


「ダン!!」


と落ちてきたのである!!

私はその後走って逃げました。

ある程度の所まで走り一息つく。
そして思い出す。
うちの高校の噂話に

「体育館で、誰もいないはずなのに白い霊が走る」

という内容の物があった事に…。


後日談

次の日、学校に行くと私が笑い者にされていた。

「なんでだよ?」

と聞いてみると、ボールの音にビビって逃げた事がばれている。
なんとボールを投げたのは在校生(私の友人)であった。
誰かが部室に来るのが見え、先生かと思い電気を消し、確認すると私であった事に気付きいたずらしてやろうと、こっそり体育館に入りボールをドリブルして、私が覗いた所へボールを投げたとの事。

笑われた事に対してはハラが立ったが、実際はほっとしていた。
しかし疑問が残る…。

(あの白いエクトプラズムは?)

聞いてみる事にした。

「じゃあ体育館を音も無く走っていたのもいたずら?」

しばし沈黙の後、友人が

「お前が覗いていた時はカーテンに隠れていた」

そうだよな…音も無く走れるワケがない。
友人に白い物を見たか?と尋ねると、顔色が変わりながら

「見ていない」

と真剣な顔で答える。
友人も知っている。
あそこの噂話は「誰かが走る」という事を…。


その日、私は部活を休んだ。
その後体育館でエクトプラズムを目撃した事は無い…。

路地裏】【体験談トップ】【管理者体験談】【読者体験談】【作品投稿