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■第七話
窓の向こうには…

「神奈川県川崎市王禅寺付近の墓地で霊体験をした」
という情報を聞きつけ数年前に調査に向かった事があった。

情報主の仮名H氏によれば

「やたらに足を引っ張られた」

らしい…。
数人で、いわゆる「きもだめし」を行なったらしいが、ほぼ全ての人間が同じ体験をしたそうだ。

そんな情報を入手して調査しない手は無いですよね?
我が家から近かったので早速車を走らせた。
「上麻生線」という名称の道路から脇道に入り、「田んぼ道」を数分走らせ、また脇道を入る。墓石の製作工場を過ぎた辺りにその墓地はある。

まず目にするのは墓地前の池だか沼だか…。
暗闇で、しかも街灯もほとんど無くただ真っ暗なその池の柵には、近所のPTAが書いたらしい警告の看板が二つばかり貼っていた。
その張り紙の一つは

「きけん入るな」

これは分かる。
確かに池や沼は危険だ。
むやみに入れば「命」につながる。

問題は二つ目の張り紙。
そこには…


「ついていかないで…こわい思いをしたなら110番に電話を」


と書いてある。
誰に着いて行くんだ!?

恐らくは俗に言う「ひとさらい」に対しての警告なんであろうが、その時何故か池の水が全て抜き取られていた。
何故全て抜き取る必要があるんだ?ここで何が起きたんだ?
考えても結論も出ず、そのまま墓地へと向かう。

ちょっとした登り道の先に沢山の墓地が並ぶ。
さて調査だと思い、車のドアに手を掛けようとしたら…

目では見えないんです。
全く見えないんです。
だったら恐くないと思うでしょう?
違うんです。
見えないんですが、窓の向こう、窓ガラスのすぐ向こうに人の顔が存在している「気」がするんです。
でも見えていない…だから「気のせい」だと思うしかない。
でも存在しているとしか思えない。

数十秒だか数分だか、ドキドキしながら窓の外を眺める。
そうしたら窓ガラスが曇ってきたんです。
最初は私の息のせいかな?と思い窓ガラスを手で拭いてみると、その「曇り」はなんと

窓の外から曇っていました!

一見人はいない。
だけど窓ガラスには人が息を吹きかけたかの様に、丸い曇りが出来ていました。

私は心霊スポット調査を始めて以来の凄まじい恐怖に襲われ、不覚ながらそのまま車で退散してしまいました。情けない話です。

ここはもう一度調査しなくては…と思っています。
近々「恐怖レポート」として…せめて写真だけでも撮りに行きます。
だけど…また「窓ガラス」が曇ったら逃げ出しそうです。

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