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□この話は「ひま人様」が、
2004年6月1日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第九十九話
県道沿いの海岸

初めてここに投稿させていただきます。ひま人と申します。
こちらのページはたまに拝見させて頂いております。
さて、早速ですが当方の体験を語らせて頂きます。

今から2〜3年程前に、僕は海へバイクを走らせていました。
季節は海水浴には大きく外れている2月か3月だったと記憶しております。
当時、仕事上のストレスが溜まりまくっていた状態であった僕は、とにもかくにも何か発散をしなければ自分自身がもたないと思う程、疲れていたのです。

時刻を気にせず、冬の二輪ではちと辛い時期にただひたすら県道(?)30号を南下していました。
幸いその日は思ったほど寒くもなく、久しぶりの遠出に気分がリフレッシュしていました。
途中、どこかで止めて缶コーヒーでも飲もうと考えて、その車道の適当な場所を見繕ってバイクを止めて、一服していました。
その道路は海岸沿いにあり、夏には海水浴客で賑わっている所でした。

せっかく来たのだから海に出てみようと思い、車道から砂浜へと続く道を進んだのです。
時刻は午後1時をまわっていたと思います。

しかし、個人的に気になることがありました。
それは「誰かの私有地だったらどうしよう?」ということでした。
しかし海は誰かのものではないだろうということで、気にせず奥に進んだのです。

砂浜に足を踏み入れて奥まで行くと、一瞬言葉を飲みました。
そこには映画に出てくるワンシーンのような、この世のものとは思えない光景が広がっていたのです。
ほぼ満月の状態の月明かりに照らされ海が光っているのでした。
それも波間が青白く、全体的に黒一色という感じのまさに宇宙を思わせるものでした。

その感覚に酔い知れ、僕はその砂浜に横たわってくつろぐ事にしました。
持ってきていたテープレコーダーを耳にして、周りに人がいないことを確認してから、歌っていました。
アホなことに。
周りには季節はずれの海の家が建っていて、それはまるで主を無くした廃虚の様な様相を呈していました。 

しばらくして、あることに気づいたのです。
何か雑音が耳に入るのです。何か唸っているのです。
一瞬人が来たのかな?と思ってテープを止めました。
しかし誰もいません。
誰かにこんな姿は見られたくないと思うのが人のサガであり、多少気にしていました。

しばらくすると


「グェッ」


という低い何かの生物の鳴き声に似たものが聞こえてきました。


「何だ、カエルか」


と思って、またそこに寝そべりました。
沼などでよく巨大な牛ガエルが鳴くので、おそらくそれだろうと一人で思っていたのです。

しかし…一向にそれが収まりません。
何か睡眠の妨害をされた気分になって思わず


「チッ」


と舌打ちしたのを覚えています。
連発するでもなく、ある程度間をおいて、しかし確実に「ゴウッ」とか「グェッ」と来るのです。
さすがに気になり始めた僕は、その正体を探ろうとしたのですが、そこにはただ「光る海」と砂浜と防砂林の存在しかありませんでした。

やむを得ずそこを出ようとした時に、また鳴き声が聞こえました。


「オゥイッ」と…。


段々と耳がなれてきて、それは何か人の声にも似たようなものにも思えてきたのです。
アル中のオヤジなどが出すあの低い声ですね。
誰かいるのなら出てこいという位、自分もイライラしていましたが、時刻も時刻だしそこを後にしました。

後になって気づいたのですが、皆さんもお気づきの通り、カエルは冬には鳴かないですね?しかも海ですね?
何かおかしいと思い、一人で色々調べた時に、とあるHPにたどり着き、その事実にびっくりしたのです。
それは心霊関係のものでしたが、僕の寝ていた海では


「夜中、死者の呻き声が聞こえる。」


という噂があるとのことでした。
また、20年以上前に原因不明の悲惨な死亡事故が重なっていたらしく、結構そこで危険な思いをされた方も多々いるようです。
大きい声では言えませんが、そのHPの管理人さんも同様のようです。
僕が聞いたあの声は何だったのでしょうか? 

それ以来、こちらの様なhpを拝見するのが趣味となってしまいました。
千葉県に住んでいると海沿いは色々危ないということをよく耳にします。
それは「治安」であったり、「海難事故」であったりしますが、あとひとつ「心霊」的なものも少しあるのかも知れません。
皆様も決して遊び半分で行かれないことをお勧めします。

…ただ、研究目的で行かれたい方。
あの声の詳細を調べたいと考えておられる方。
是非、ご報告をどこかに書いて欲しいなと思っています。
場所は千葉県の県道30号沿いの海岸、白子町付近の


九十九里海岸


です。


僕ですか?…二度と行きません。ふふ…。

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