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□この話は「piki様」が、
2003年12月19日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第九十話
母と曾祖母

三つ目の投稿となってしまいました。
正直、書こうかどうかと迷っていた話です。これは、母の話です。

私の母は、霊感の強い人間です。
以前、紹介した曾祖母の方がはるかに強かったらしいのですが、母も中々のもののようです。

母が十歳の頃ですから、今から四十五年ほど前の話です。
母は、京都市内のF地区に住んでいました。
Fは街道沿いの町で、今はこじんまりとしていますが、昔はにぎやかな街だったそうです。
母は活発な娘で、F地区の外れにある有名な大社や、その持ち山で遊び回っていたそうです。
その山が曲者で、洛北の貴船ほど有名ではなくても、洛南では有名な丑の刻参りのスポットだったようです。

ある日、母が山で遊んでいて、帰るのが遅くなった日、丘を通る国鉄の線路を越えようとしたとき、そこに白い着物の女性が見えたそうです。
母はすぐに

「生きた人ではない!」

と感じたらしく、目をそらしました。
しかし、彼女は母の顔を覗きこみ、にやりと笑い、

「かわいいね」

と言ったそうです。
母は、泣きじゃくりながら親戚筋にあたる、近くの石屋に逃げ込みました。
母のただならない様子に、石屋のおかみさんは、すぐに母の祖母(私の曾祖母)を呼び出しました。
そして、おかみさんは曾祖母となにやら話しこみ、母の前に二人は戻ってきたそうです。
そして、曾祖母は母に、


「アキちゃん、昨日の夜、あそこで女の人が轢き殺されたんよ。丑の刻参りの最中やったらしいんよ。」


と、告げました。母は曾祖母に抱き抱えられ、街道にある母の家に戻ったそうです。

翌日、母の実家の墓守をされているお寺に行き、お祓いをしてもらい、母は無事で済みましたが、住職の話によると、母は憑きやすい体質で、その女も母にとり憑こうとかなりの抵抗をしていたそうです。
母が無事で済んだのは、曾祖母の力がかなり強く、邪魔をし続けていたからだったのだそうで…。

石屋…F地区…国鉄…私は、ふと気付きました。
私の今通っている学校の真下で起きた出来事だったのです。
あと三ヶ月で卒業ですが、母はよっぽどのことがない限り、学校には来たがりませんでした…当然ですよね。
今、その踏み切りも整備されて、電車の本数も増えましたが、石屋さんは健在です。

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