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□この話は「トーヤ様」が、
2003年8月30日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第八十二話
猫の視線の先に…

初めまして、トーヤ(仮)と申します。
僕は福岡県に住む、十八歳の男児です。
最近怖い出来事があったので、チョット出してみます。

僕は近々武道の大会があるので、自宅の近くの神社へ御参りに行っていました。
もちろん、優勝祈願です。
その神社には毎日お友達が居ました。
神社でしか会えないお友達、子猫の「にゃんにゃ」です。
変なネーミングだと思って笑わないで下さい。
「にゃんにゃ」とは、つい三日前位に知り合いました。
神社にやせ細った猫が居たのを僕が発見し、ウチの猫の餌を少し分けてあげ、それから僕に懐いてくれました。
それからというもの、僕は毎日餌をあげに神社に向かいます。

昨日、ふと母から小学生時代に聞いた話を思い出しました。
その神社には


首吊り自殺


をした人間が二人も居て、夕方六時を回ると、よく出るらしいんです…。
まぁ昔は僕を早く神社から帰ってくるように考えた母の作り話だろうと小学校高学年時代から思い始め、それから神社にも行かなくなりました。
しかし、小学校低学年の頃は本当に怖かったです。
母本人が見たかのように、グロテスクに、リアルに話すんです。
そんな事を思い出すと、少し怖くなり始めました。
「にゃんにゃ」に餌をあげると、いつものようにバクバクと必死に餌を食べています。
こんな僕でも、少しは役に立つんだな…と思いました。
そのときは猫の幸せそうに食べている顔を見て、僕も幸せな気分になりました。

その時です!
猫がサッと頭を上げたのです!


「にゃんにゃ、どうしたん?」


僕はそう言いながら猫の視線の先を追いました。
そこはこの町で有名な


首吊りの木


でした。
僕は少し怖くなり、目線を元に戻しました。
「にゃんにゃ」はいつの間にか餌を再度食べ始めていました。


「どう?おかわり、いらん?」


そう「にゃんにゃ」に言った時、また「にゃんにゃ」の視線は首吊りの木に移っていたのです。
今度は何気なく見た木に、僕の眼は凍り付いてしまいました…。そこには



首吊りをした人がクッキリと姿を見せていたんです!



その人は僕に助けを求めるかのように、手を宙で空振らせ、苦しそうに



「うううううう」



と、うめいていました。
母の言っていた事は嘘ではなかったのです!
今も目に焼きついて離れていません…。


母の言ったとおり、目玉が落ちかけ、舌は口から出ていて、それ以上は言い表せません。
僕は一目散で神社から逃げ出しました。



もう、あの神社には行きたくありません…。


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