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□この話は「Y.A様」が、
2003年8月15日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第七十九話
忍び寄る無数の霊

これは二年前の話です。
オレたち五人は原チャで2ケツして(もう一人は一人乗り)

『犬■峠』

に肝試しに行った時のコトでした。





中学の時、先生のKから聴いた話です。
Kは


「犬■峠には巨大な黒い化け猫の霊が出る」


と言い、話してくれました。
それはKが、中学校の教師になってスグ、親の危篤の知らせが入った時でした。
不運にも○○病院に向かう最短距離が犬■峠を通らなければいけない所にあったのです。
犬■峠を通らなかったら一時間半、通れば四十五分。
通ったほうが断然早かったそうです。

そんな時、同僚の先生NがKに忠告しました。
それが黒い化け猫の霊だったのです。



「化け猫はこの世のモノとは思えない奇声を発しながら、どんどん近付いてくる。絶ッッ対に後ろを振り返ってはいけない。スピードでも負けてはならない。負けたら命の保証は出来ない。まぁ、ある程度霊力が無ければ遭遇しないがな」



そう忠告してくれたらしいのですが、Kは全く信じていませんでした。
Nから話を聴いた直後、Kは単車にまたがり○○病院に向かって出発しました。
空にはもう、星が輝いていたそうです。


犬■峠に入り数分、タイヤの滑ったような、猫が車にひかれたような音が聞こえてきました。
それが化け猫が現れた証拠でした。Kは多少霊力があったみたいですね。
Kは何度か犬■峠を単車で走ったコトがあったそうですが、さすがに120キロオーバーで走ったコトは無かったそうです。
しかし、とうとう抜かれてしまいました。その化け猫は大人の頭五つ分の頭を持ち、口に大人の黒猫を咥え、ものすごいスピードで爆走していったそうです。



…お解りになられたでしょうか?


この黒い化け猫の正体は

黒猫ヤ■トの宅急便

だったのです。
Kはあっけに取られ、本当に事故るトコロだったそうです。


と、ここから本題に入りましょう。その話をして、Kは一人で爆笑していました。
しかし、オレは笑う気にはなれませんでした。
ライトもつけず、高速でもない、クネクネ曲がった峠道を、トラックが120キロも出せるハズがありません。
もしかしたら実際に怖い話は、そんなコトにも気付いていない、頭の悪い先生が居たという事実なのかもしれないのです。
これは大変怖い話です。





8月■日、オレ達には黒猫ヤマトの霊は出ず、予定通り旧トンネルの所に行きました。
旧トンネルの前には鉄格子が掛かっており、原チャは鉄格子の横から入れました。(鉄格子の意味無ェじゃん!)
鉄格子から一分もしないうちに旧トンネルに着きました。
が、そこにはブロックが積み重ねてあり、上からしか入ることが出来ません。
ジャンケンで負けた奴から入るコトになりました。
幸い、オレは一番最後に入るコトになったのです。
一人目が入ろうとした時、オレは


後ろから気配


を感じました。
後ろにはダレも居ないハズです。
もし他にも肝試しをしに来た人達ならば、話し声が聞こえてもおかしくないのですから…。

次は右から気配を感じました。右は何も無い、ただの岩でした。
一番最初に行った奴も何かを感じたらしく、スグに引き返してきました。
まるで何者かが



「この中には入ってはならない」



と言っているみたいに、四方八方から気配が近寄ってきます。
オレは意識が遠くなっていきました。まるで取り憑かれるみたいに、金縛りにあっているみたいに身体の自由が利かなくなって瞼が重くなった時でした。
その時、一番最初に旧トンネルに向かった奴がイキナリ



「わお〜ん!」



と犬の鳴き声で叫んだかと思うと、


ひげダンス


を踊り始めました。



(ついに取り憑かれたか、このバカ)



と思いました。皆は大爆笑しています。


帰った後、ソイツから聞いた話ですが、そいつ以外、皆取り憑かれそうになっていたそうです。
犬の鳴き声は昔から魔を払うと言われているそうで、最後のひげダンスは皆を笑わせるコトで霊を遠くに追いやった。
と、言っていました。
まぁ、人間の犬の鳴き真似なんぞ、たかが知れてますが…。
そいつの言霊だったと思えば、納得できます。




オレの守護霊が負けるのは、ちょっとショックでしたね。


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