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□この話は「まこ様」が、
2003年8月11日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第七十八話
肩をたたかれたのですが…

今から10年以上前、看護婦をしていた頃体験した話を書きます。

その患者さんから往診を頼まれたのが、8月に入ってからだったと思います。

「おばあちゃんが寝たきりになって、ご飯も食べないし、水も飲まない。意識もほとんど無い。」

ということで、さっそく往診に行く事になり私がお供について行きました。
そのおばあちゃんの状態は、誰の目から見ても”時間の問題”という感じでした。
とりあえず、その日から点滴をすることになりました。
点滴は、看護婦のみんなでローテーションを組んで行っていたのですが、私が行く事が多かったと思います。

お盆休みに入る前の日、すっかり顔馴染みとなった家族の方と、

「お盆過ぎまでもってくれるといいんだけどね…」

と話しました。
その日私は夜勤もしていました。
夜勤といっても小さい医院なので入院患者さんもいないし、夜間急患がなければ寝てしまうのです。
その夜も、いつもと変わらない夜で、後輩の看護婦と寝ていました。

どれくらい寝てからか…、目が覚めました。
誰かが肩をたたいたのです。
右肩です。
私は、仰向けに寝ていました。
仰向けに寝ていたのに肩をたたかれたのです。


「あれ、なに?」


と思っていると、電話が鳴りました。
あのおばあちゃんの家族からでした。
先生と駆けつけた時には、すでに亡くなっておりました。
他の看護婦たちに、


「おばあちゃんが呼んだんだよ、きっと。」


と言われました。
私もそんな気がするような、しないような…。


おばあちゃんとは、一言も喋ったこともないのに。


おばあちゃん意識もなかったし。





この話をするとみんな怖い怖いと言いますが、私自身は怖いと感じた事はありません。
そういうこともあるって感じです。
仰向けに寝ていたのに肩をたたかれたというのが不思議です。
でも、肩に手をポンッと置かれた感触が、しばらくの間ははっきりと残っていました。
看護婦時代の話は他にもありますので、又の機会に。

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