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□この話は「名無しちゃん@悪霊退散様」が、
2002年8月26日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第五話
残留思念


僕の実家の近所には、西武園遊園地があります。
夏の間中、土、日は花火が上がります。
この花火は園内で見るよりも、隣のゴルフ場の先にある通称、「荒畑富士」の方がよく見えるということで地元民の花火スポットになっていました。

僕は小学生の頃、よく荒畑富士に行って見ていましたが、年をとる毎にほとんど行かなくなっていました。
付き合ってまもなくの彼女が、「西武園で花火を見たい」などというので、久しぶりに荒畑富士に行くことにしました。

花火開始の三十分前、七時半に到着したのですが、昔とは違い、大変な人の数でした。
ずらっと並んだ車の最後尾に自分の車を止め、山と言うより、小高い丘と言う感じの荒畑富士を上っていきました。
頂上に着くと、幅五メートル四方の敷地に大変な人の数で賑わっていました。
昔では考えられない人の数。

昔とは違う感じ…普通とは違う感じ。
何か得体の知れないものの感じ…。

ただならぬ気配を感じた僕は、彼女に

「なにか感じないか?」

彼女は

「なんか嫌な感じが…」

周りを見ると、花火を前に浮かれている子供たち、いちゃいちゃしているカップル。
会話と言うより、騒いでいると言うぐらいの騒々しい中で、異様な気配を感じているのは僕と彼女の二人だけでした。

「誰も気づかないのか?」

僕は彼女に大声で尋ねました。
何人かの視線を感じましたが、あまり関心がない様子。
次第に、得体の知れない雰囲気がどんどん近づいて…。
花火も上がらない内に、僕は彼女の手を掴んで逃げ帰ってしまいました。
やっとの思いで家に帰ると母がいたので、今あった出来事を話しました。
すると母が




「最近、あそこの杉の木で首吊りがあったんだよね…」

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