□この話は「やぶ医者様」が、
2002年5月25日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第三十四話
屋根裏に誰かいるんですよ
後編

お嫁さんは、今家には娘しかいないから、登ってみよう、といった。
私は気が進まなかった。
なぜなら、天井を睨むAさんの様子から、
あまり良い物があるのではなさそうだと感じたからだった。
でも、気になっていた。

仏間の押入れの天井は、くぎで止めていないから開く筈だという事で、
私達はそちらに移動した。
お嫁さんは腰痛なので、登るのは私となった。
白衣を脱いで、押入れに上がると、天井は思ったよりもあっさりと持ち上がった。
ぱらぱらと埃が落ちてきて、むせたが、意外に天井裏は広かった。
頭に何かが障ったので探ってみると、昔使っていたような、裸電球がつるされていた。手探りでスイッチを付けると、それは長年使っていないはずなのに、
白々と辺りを照らした。

「居間は、そこから右手の方ですよ」

お嫁さんの言葉に、私は何気なくそちらを向いた。
広々と静かな空間の向こうに、木の格子があった。
天井から床(天井裏の)まで、しっかりと作られた物だった。
つまり、私のいる所とその向こうは、格子によって完全に区切られていた。
天井裏を何故わざわざ区切ったのか?
その向こうは、裸電球のささやかな明かりさえ届かず、真っ暗だった。

「なんかありましたか?」

お嫁さんの声に、

「何もない」

と答えようとして、私は視界の隅に何かが動いたのに気がついた。
しかし、そちらを見ても当然何もない。
突然、格子の方に埃が舞い上がった。
天井裏に、風など吹くはずもない。
現に、明かりで照らされた天井裏の床は、見事な程均一に埃が積もっていた。
気のせいかと思った時、不意に耳元で囁かれた。

「ダァレ?」

気が付くと、仏間の床に私は寝かされており、
お嫁さんと娘さんが心配げに私を見ていた。

「先生、急に押入れから倒れてきたの」

意識が飛んでいたのはほんの数秒だったようだが、
私が押入れから落ちた時の音に、娘さんが驚いて駆けつけてきたそうだった。

「先生、押入れに何かあったんですか?」

そう言って、娘さんは自分も登ろうとした。私は慌ててそれを止めた。
だってあの時、私の側には、誰もいなかったはずだったから・・・。

結局、Aさんのひた隠しにしていた物とは、
毎日見張っていた物とは、なんだったのだろうか?


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