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□この話は「あき様」が、
2014年8月15日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第二百九十一話
似たもの親子

今から15年前、とある団地に引っ越してきました。

自宅から駐車場までは歩いて6〜7分かかるのですが、その間に“何か”が居るのは、引っ越してきた初日から、何となく分かっていました。

仕事から帰宅した夜。
駐車場から歩いていると、周辺とは明らかに“空気が違う”と感じる場所があり、右半身が冷たくなったのを感じました。
と同時に、後ろから“何か”付いて来た様な気がしました。

何とも言えぬ独特の恐怖を感じたのですが、それでも自宅の方へ進みました。
すると、家へ向かう曲がり角を曲がった途端に、その悪寒は

「すーっ」

と消えたのです。

不思議な感覚だったのですが、嫌なものを感じたのは確かであったので、翌日からは数珠を持つ様にしました。

それからしばらくした頃の事、家族で外食した事がありました。
その帰り道の事です。

妻と長男は先に自宅のある団地で下ろし、自分と娘は駐車場へ向かいました。
娘は、肩車が大好きでしたので、駐車場からの帰り道に肩車しながら歩いていました。

すると、肩に乗っていた娘が、こう言いました。

『お父さん、この先って寒いよね』

私は“えっ”と思ったのですが、「うん」とだけ答えました。
すると娘が続けてこう言ったのです。

『先の曲がり角までね寒いんだよね』

何と私が感じたのと同じものを、娘も感じていた様です。
同じものを感じた共鳴感に嬉しくもあり、かといって恐怖感は無くなったかと言えばそうではない。むしろ「やっぱり何かがあったんだ」といった確信めいたものが芽生え、更に恐怖を感じた私は、娘に

「暗くなったら通っちゃだめだよ」

とだけ伝えました。

それにしても親子って、変な所が似るんですね…。


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