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□この話は「アキ様」が、
2008年3月4日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第二百八十二話
宙を舞うのは…

3度目の投稿になります。
今から20数年前の話です。

私は、どちらかと言うと霊感は強い方で、小学1年生の時には、既に幽霊と遭遇しています。そんな幼少時代に住んでいたのが練馬区仲町と言う(元平和台)所で、昭和34年位から約8年間居ました。

ある日、夕方に遊びから帰ると、妹と御袋が風呂に入っていました。すると、大声で御袋が呼ぶので、風呂場に行ったら御袋が

「妹がのぼせて意識が無いからおとうちゃんを呼んできて」

と言いました。親父は家から2km程離れた、商店街の床屋に行っているらしいので、私は走って床屋に向かいました。
自宅と床屋の丁度中間に、名前は忘れましたが大きなお墓が左側にあり、右側は竹薮と雑木林、その先にお寺が有りました。
その墓までは下り坂となっているのですが、私はその坂を走りながら下っていくと、丁度墓の真ん前辺りで、前方から

霧の様に薄い人間の様なモノ

が突然迫ってきました。

(あぁぶつかる!)

と思った瞬間、それまで薄かった髪の長い着物を着た女性の顔が、ハッキリと見えました。
そしていよいよぶつかってしまうと思った瞬間、私はその白い女性の中を通り抜けてしまいました。
走りながら後ろを振り向きましたが、霧状のモノは既に無くなっており

(なんだったんだろう?)

と疑問に思いながらも、床屋に着いたので親父に妹が倒れた事を話しました。すると父親は、私を置き去りにして全開で走り始めたので、私もそれに遅れぬよう懸命に走り、家族のいる自宅に向かいました。
父親から若干遅れて自宅に到着したのですが、妹は既に回復していて元気一杯でした。

この様に私の見る霊?は霧状や雲状の物が多いです。



実はここまでが前置きで、以下より本題となります。
今回の話は20数年前の出来事となるのですが、東久留米の或るファミレスで、無線のクラブのミーティングが有りました。大勢の仲間と話をし、夜12時を回った所で解散と成りました。

ファミレスは大きな交差店の角に有り、駐車場を車で出ると、目の前の信号が赤だったので止まっていました。すると車の左から、750cc位のバイクが脇をすり抜け、私の車の前に停車し、少しすると右からも同じ位の大きさのバイクが私の前に出ました。
私から見ると、丁度車の前に2台のバイクが並んでいる状態です。
そして、信号が黄色から青に替わる寸前で、両バイクがアクセルをあおり出し(この頃シグナルグランプリが流行っていました。信号青で全速発進し次の信号までの公道レース?。)信号が青に成ると同時に、両バイクは全速力ですっ飛んで行きました。
私も、当時は車の改造などを趣味にしていましたので、そこそこ速い車に乗っていましたから負けずに追いかけました。私とバイクの距離は100m前後離れて居たでしょうか?。

その道路は、夜間の交通量は極端に少なく、当時外灯も少なく左右には枝道が沢山有ります。バイクを追いかけて前方を見ていると、右の側道から車のライトが見えました。すると、バイクの前にその側道から出てきた車が、道を横断するような格好で出てきちゃいました。
左右のバイクは殆ど並んで走る状態で、右側を走るバイクがその車を避けようと左に寄って行きました。
その後、左側を走るバイクと絡むように接触し、私の目の前で事故が発生しました。
私も慌てて急ブレーキを踏み、数10m手前で何とか停まることが出来ました。

停まるのと殆ど同時に、何かがボンネットに落ちて来ました。
それはフルフェイスのヘルメットです。
一瞬にして

(事故した連中のヘルメットが飛んだんだな)

と察しました。
ボンネットに落ちたヘルメットが「ゴロリ」と転がり、後部を見せていたヘルメットが正面に向いた時、中から目の様な物が見えた気がしました。それは物凄い目つきであったような気がします。そしてボンネットから落ち、ガードレールの方へと転がって行きました。

(あの目は何?)

そんな疑問を思ったのですが、前を見は物凄い惨状であり煙の様な物が立ち込めています。また道路には、オイルだか水だか何だかで濡れている様に見えます。
とにかく現場に行かねばと思い、車から降りて数10m先の事故現場に向かってみると、それはオイルや水ではなく血でした。
当たり一面血の海となっていました…。

私は現場を見る勇気が無くなり、たまらず車に戻ってしまいました。
何気なく車の脇を見ると、先ほどのヘルメットが落ちています。

(そう言えば、あの目は何だったのだろう…)

そう思い、そのヘルメットを見てみると、ヘルメットの正面からは、相変わらず物凄い目つきで私の方を睨み続けている目がありました!

そうです…。飛んできたヘルメットには、その

“中身”

も入っていたのです…。
多分左右どちらかのバイクの運転者でしょう。事故でクビごと千切れたのでしょう…。
私は車に飛び乗り、物凄い速度で車をバックさせてファミレスに戻り、震える手で110番しました。
電話では見たままの話をしたのですが、警察が現場に行って待っていて欲しいと言われましたが、サイレンが数分後聞こえてきたのを確認し、自宅に戻ってしまいました。

翌日の新聞に、この記事が出ていました。
その記事によれば、2人とも即死で、首が切断されてしまったのは、どうやら右側を走っていた運転者の様でした。
なお、この時に前方に飛び出して来た車は走り去ってしまったそうです。

怖い事故ですね。
しかし此処までは霊云々は関係有りません。
悲惨な事故と言う事で終わってしまいますが、実は先があるのです。

この事故以来、現場となった道路は意識的に避けていました。
そして数年が過ぎた夏の夜中、またそのファミレスで友人数人と食事をしながら夜も更け、さて帰ろうと言う話になり、仲の良い友人1人を送る為に車に乗せて駐車場を出ました。

例の事故の有ったった道路です。
その時は、数年前の事故の事は忘れて走っていましたが、急に友人が或る場所で

「今の見た?」

と言うのです。
意味も分からず

「え?何?」

と聞くと、彼曰く「ガードレールに人が腰掛けていた」そうです。それだけなら、どうって事のない事なのですが、その腰かけていた人の風貌が有り得なかったらしいです。

「首…なかったでしょ?」

彼は私にそう言いました。
その瞬間、数年前の事故を思い出しました。
しかし私はたまらず

「そんな事あるわけ無いじゃん」

と言い返すと、友人が戻ってくれと言い出しました。
私は気味が悪いけど、Uターンし恐る恐る戻ってみました。
目撃した付近に車を停め、周囲を見回りながら、

「確か看板の有る所だったから此処だ」

友人が、そう言いながら、その場所を指さしました。
その時、私は背中に悪寒が走りました。正に事故の現場だったのです…。
そして其処は、例のヘルメットが落ちた場所で、丁度お盆の時期なのか、花と飲み物と線香の焼かれた後が有りました。そして看板に目を遣ると

何年何月何時何分頃此処で交通死亡事故が有り目撃者の方叉は事故に関して情報を持っている人は警察まで

と言う文言が書かれていました。
兎も角、友人の手を引っ張り車に戻り発進させました。友人は前を見たまま身動きしませんでした。
話し掛けても無反応。
そして少ししてから

「居ただろう?革のツナギ着て首の無い人が少し奥に立っていただろう?」

と話し出しました。
彼は小刻みに震えていました。

彼の自宅アパートに着きましたが、彼から今日は泊まって行けと何回も促され、私も何か怖くなり、その日は泊まることにしました。
その時、彼には数年前の私が遭遇した、あの事故の件を話してあげました。

今回は私には見えませんでしたが友人には見えました。
そして事件は、(あの時点で)未だ解決していなかったんだと解りました。
あの時、私が現場に残り、警察官に事情を説明すれば、彼らも成仏できたのかな?と考えました。

今でもたまに、その悲惨な事故現場を通りますが、昼間限定です。
夜は絶対に通らない事にしています。

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