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□この話は「オズ様」が、
2012年1月20日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第二百六十九話
天井裏に住むもの

私の実家の話はすでに何度かさせていただきましたが、小学2年から高2まで約10年近く住んでいて、これがまぁ年がら年中よく出る家だったんです。

別のお話でもしましたが、その辺り一帯の住宅が何らかの形で祟られていたんですね。
それでも、そうしょっちゅう出てくると意外と人間ってのは慣れてくるもんで「怖い」って感覚より「またか」って気持ちの方が大きくなります。
いや、怖いものは怖いんですけどね。

小学6年の大晦日です。

家族が皆で出かけるってんで、正月1日の昼ぐらいまで帰ってこないらしいんです。
当然、私も行くよう言われていたんですが、アイドル全盛時代の頃ですから大晦日の歌番組見たさに留守番することに。
大晦日の夕食と元旦の朝食を何か買えと千円札一枚もらったのを覚えています。
夜、テレビを見ているといつもの

「パシッ!パキッ!」

というラップ音。
そんなもの慣れたもんですし、そんなものより誰が大賞受賞するのかの方が大事です。
その後の歌合戦が始まり、演歌が続く終盤になってくるとさっきから続いているラップ音が気になってきます。
慣れたと言ってもうるさいものはうるさい。
普段なら放っておくんですが、今は留守番を仰せつかっている一家の主の代理。
テレビも飽きているんで原因究明でもしようかと音の出ている場所を探し回りました。
あっちからもこっちからも聞こえてきますが、壁の中を穴あけてみるわけにもいかない。
気になるのは天井方向から聞こえてくる音。

「こりゃ押入れから上って天井裏から確認できるぞ」

って訳で、よせばいいのに探険家気分で懐中電灯片手に押入れの中へ…。
なんて言うんですかね、押入れの上の天井裏に入れるように外れる板、アレを外して天井裏へ顔だけ入れました。
真夜中ですしね、当然ですが真っ暗です。
懐中電灯を差し入れ、天井裏にグルッと一周光を当ててみました。


…ん?


やばい…これはやっちゃいけない遊びだった。


天井裏、真っ暗闇の奥、懐中電灯の光の先に映し出されたモノ。


痩せこけて、髪が長く、白い着物(?)のようなものを着た女が膝を抱えて座っていました。


爪をカリカリと噛んでいるようです。


私は懐中電灯をその女に当てたまま恐怖で動けなくなりました。

「なんで?なんでこんなとこに女の人がいるの?」

わかりきってます、この世のモノではないことは。
そんな馬鹿な思考をしている間に、その女が髪の間からこちらを見て目が合ってしまいました。
その瞬間、その膝を抱えたままの体勢でこちらにバタバタと向かってくるんです。

やばい、逃げなきゃ…

咄嗟にそう思い、押入れに戻り板で蓋をします。
なんだ?あれは??板を外してこっちに降りてきたらどうしよう…。
そこで小学6年生の私は考えました。

「よし、見なかったことにしよう」




※原文ママ

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