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□この話は「オズ様」が、 2011年8月27日に投稿して下さった作品であります。 |
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■投稿作品第二百六十四話 隣の影 |
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久しぶりに投稿します。 つい数ヶ月前の事です。 僕の住んでいるマンションの近くに大きな公園があります。 昼間は家族連れがキャッチボールしたり散歩したりと賑やかで、夜もジョギングしている人がいたりする公園なんですが、僕自身はそこの公園の持つ雰囲気というか何か異様な感じが好きになれず昼間ですらあまり行きたくない公園です。 実際、自殺なんかも多々ありますし、霊を見てしまったという話もよく聞くところです。 夜なんか外灯も少ないので本当に気持ち悪いんです。 僕の息子がまだ三歳くらいの頃、その公園に非常に見晴らしが良く夜でも某有名ビルや某有名ブリッジが見える丘があり、そこに生えている木々を息子が見回し 「なんでこの人たちみんな木にぶらさがっているの?」 と怖い事を言い出したことがありました。 実際、その場所は首吊りが多い場所だったのです。 そんな公園に、毎日犬の散歩に家族で行っているんです。 当然、僕も嫌々ながら行くことになってます。 普段は夜の7時くらいに行くので、まだジョギングやウォーキングしている人たちがいるんですが、その日は僕が仕事が残業になり夜の11時近くになってしまいました。 実はその数日前に、会社の同僚にその公園でまた自殺者が出た…という話を聞いていた事もあり、そんな夜遅くに行くのは嫌だったんですが、妻がどうしても行くと言うので渋々…本当に渋々行ったんです。 今にして思えば、どうしてその散歩コースを通ったのか不思議でなりませんが、普段夜に行く散歩コースとは違うコースを家族3人で何も不思議に思わず歩いて行きました。 20分ほど歩いたでしょうか…。 突然、息子が 「トイレに行きたい」 と言い出し、ちょうど近くにあったトイレに駆け込みました。 数日前に聞いた自殺者は、そのトイレの裏手にある木にロープをかけて首を吊ったそうです。 よりによって何故このトイレに…と思いながら息子に 「先に行ってるよ」 と声をかけ少し先に進んでいることにしました。 そこで妻が、悪戯心が出たのか、隠れて息子を驚かすからと、近くにあった植え込みに犬と共に隠れました。 僕は、もうさっさと家に帰りたいので、やはり先に進むことに…。 しばらく一人で歩いていると、ふと何かの違和感を感じました。 息子はトイレ、妻は植え込みに隠れて二人ともだいぶ後方にいるはず…。 なのに、いつのまにか誰かが僕の左後ろを歩いているんです。 もちろん誰ともすれ違ってませんし、後ろから追いついてきたというのも考えられません。 仮に後ろから追いついてきたとしたら、相当なスピードで歩いてきたのでしょうし、僕の後ろにきた途端に僕と同じ歩くスピードに合わせる意味もわかりません。 後ろにある外灯からの灯りで、僕の正面には足元から自分の影が伸びています。 そして、その左側には何者かわからない影も伸びているんです。 自分の影ではありません。 明らかに僕の足元から伸びている影と平行に、僕の左後ろから伸びているんです。 僕の影との比較で考えると、何者かは本当に僕のすぐ左後ろをピッタリと歩いている…。 どう考えても耳元に息遣いさえ聞こえてきそうな距離にいるんです。 まぁその時点で、間違いなく見えてはいけないものだと感じてましたから、いつものように 「オレについて来ても何もしてやれないからな。どっか行ってくれ」 と心の中で念じながら歩きます。 後ろを確認することすらしません。 しばらくすると、ずいぶんと後方でバタバタと走る音がして、続いて 「わっ!!」 と驚かす妻の声、その後に 「うわぁぁ〜!!」 と情けない声で、まんまと妻の悪戯にひっかかった息子の声が響きました。 その後、大笑いしている妻と、驚かされて半泣きでふくれっ面している息子が駆け寄ってきました。 そういえば、いつのまにかに横に張り付いていた影がいません。 まぁ今起きた事を話してしまって無駄に家族を怖がらせる必要もないだろうと思い、 「なんだお前、驚かされて泣いてんじゃないよ」 …と声をかけた僕に息子はこう言いました。 「だってさ、お母さんが隠れてると思わなかったんだもん。だってさ、遠くでお父さんが歩いててその横にロープ引きずってる女の人が歩いてて、それがお母さんだと思ったんだもん」 あぁ、あの影は女の人でロープ引きずってたのか…。 そういや、数日前に自殺した人の性別聞かなかったな…。 ホント、この公園嫌いだ…。 |
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