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□この話は「オズ様」が、
2009年8月14日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第二百三十二話
我が家2

また投稿させていただきます。

以前「我が家」というタイトルで書かせていただきましたが、まだまだ我が家で起こった怖い話は多く・・・また一つ書かせていただこうと思いました。
今回は霊感の全くない…と言うより、これだけ心霊現象に巻き込まれながらも霊の存在を全く信じていない、ある意味非常に幸せな私の親の話です。

私が中学くらいの頃だったと思います。
以前書いたように家で起こる心霊現象には慣れっこになってしまっていた私たち兄弟は「今日はこんな事が起きたよ」的な話を一家団欒の場で普通に会話していた時、ふと母親が

「そういえば…」

という感じで話してくれました。

当時、私の母親は専業主婦でした。
父親を会社に送り出し、私たち兄弟を学校に送り出し、掃除・洗濯等々を毎日のようにこなしていました。

ある日の事です。
一通りの家事をこなし一息つこうと居間でテレビを見ながらゴロンと寝転んでいたそうです。
しばらくテレビを見ていたそうなんですが、まぁ平日の昼間にそう面白い番組がやっているでもなく、いつのまにやらウトウトしだしたそうです。

ピンポーン

チャイムが鳴りました。

「あ、誰かお客さんだ」と思い、起き上がろうとしましたが何故か起き上がれません。

ピンポーン

頭は醒めていたようですが、どうにも身体が動かない。
本人、霊の存在を信じてないものですから、当然「金縛り」とは思っていません。

ピンポーン、ピンポーン

ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン

ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポーン

段々とチャイムの音が苛立ってきているようです。
そこで母はふと、自分を見ているモノに気づいたんです。
居間の床でゴロ寝をしている自分を、窓の外からジーっと見ている男の顔を。


ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン…


チャイムは相変わらずイライラした調子で鳴らされてます。
母は、自分が出迎えないからイライラして居間に覗きに来たんだと思い

「ごめんなさいね。なんだか身体が動かなくて…」

と心の中で謝っていたそうです。
非常に暢気な話ですが、少なくとも居間の窓ガラスと玄関までは少し距離があるので絶対に同一人物であるわけがない。
実際の人間だとしたら、覗き込んでいる男ともう一人、チャイムを鳴らしている男(女?)の複数なんです。
でも母親は何故か同じ男性だと思ったそうです。
チャイムは鳴り続けている…
男は自分の顔をジーっと見続けている…
そのうち母親はまた眠ってしまったそうです。

そして数日後…
専業主婦の毎日なんか、そう変化があるでもなく、先日と同じようにテレビをつけてゴロ寝を始めました。
またウトウトとしだした頃…

ピンポーン

「あ、お客さんだ」

起き上がろうとしましたが、先日と同じように動けません。

ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン…

まるでVTRのように同じ事が繰り返されていきましたが、一つだけ違う事がありました。
窓を覗き込む男の顔の隣に、全く同じ男が並んで覗き込んでいるんです。
双子??ってくらい同じ顔だったそうです。
そこで、母親はまた寝てしまいました。
そしてまた数日後、その何日か後…というように同じ事が繰り返し繰り返し起こったようです。
違うのはたった一つ。
窓を覗き込む顔がドンドン増えていく事だけだそうです。
最終的には窓一面が同じ男の顔で埋め尽くされ、何十人という同じ男が部屋の真ん中で寝ている母親をジーっと見ているのです。

そして、ある日…
相変わらずチャイムが鳴り続け、もう窓も埋まる隙間もないほど顔で埋め尽くされています。
暢気な母は相変わらず「迎えられなくてごめんなさいね」と、この期に及んでまだ人間だと思い、動かない身体で窓に向かって謝っています。

ふと、別の場所に視線が向きました。
目の前に、ほんとに自分の顔数センチの距離に、その男が覗き込んできたそうです。

「あ、迎えにいかなかったから家の中に入ってきたんだ」

そう思いつつ、気が遠くなっていきました。
よくよく考えてみたら、勝手に家の中に入ってきて失礼な人ね…そんな事を母親は真面目な顔して言っていました。

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