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□この話は「JOEK様」が、
2002年4月21日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第二十三話
死の予感…

これは私がまだ元彼と付き合っていた専門学校時代の出来事です。



私達のデートコースは都内で遊んだ後、私を車で家に送り届けるという、ある意味マンネリコースでした。


その日も何時ものコースでデートをしていました。

夜の9時頃だったと思います。
帰りがけにガソリンスタンドへ寄った後、車を少し走らせ始めた時です。

私は急に何故か


《自分が死んでしまうよ…》

《近い未来が見えないよ…》

《恐いよ…寂しいよ…》


…という不安感と嫌な予感に襲われてしまい、ガタガタと震え、泣きながら必死に訴えました。


『私、近いうちに死んでしまう気がするよ〜…』(号泣)

『恐いの、明日かもしれないし、近い未来の自分がいないの…』(号泣)


何の前触れも無く号泣する私に驚きはしたものの、彼は優しく慰めてくれました。


『大丈夫だから。死なないよ。俺が死なせない!』


何回も何回も優しい言葉を繰り返し言ってくれました。





どれくらいの時間私は泣いていたのでしょう…
平常心を取り戻した私に、


『急にどうしたの?俺、今泣かせるような事何かした???』


と、さっきの異常な行動に驚いた彼が聞いてきましたが


『わからないの…』


そう、何故急に泣いてしまったのか…
自分でもこれといって思い当たることは無かったし、ただただ

『死』

が近い将来ある気がして、恐かったのを覚えています。





その後は、何故か何事も無かったかのようにケロっとしていたんです…。

自分がいなくなる恐怖はその日以降に一度だけありました。
その時も大体夜の9時頃だったのを覚えています…
でも、時間が経つにつれてケロっと泣き止むんですよ…。(謎)

そんな事があった事も忘れかけていた一週間後、高校時代の友人からTELがありました。


『落ち着いて聞いてね…。実は…S(同じ部活だった子)が亡くなったの。』


という電話でした。


『死因は何だったの?!』


と聞くと、


『…(かなりためらってから)詳しくはよくわからないの…。』


と、カナリ気まずそうに答えられました。
私はとても気になり、Sと仲の良かった友達のNにTELをして真相を知りました。

Sは最近ずっと悩んでいたそうです。
Nは何度かその相談には乗ってはいたものの、多忙な中、毎日のようにある相談のTELにだんだんと乗れなくなってしまったらしいんです。




余談ですが…

高校時代から、Sはとても純情で、恋をするとそれしか見えなくなり、上手くいかないとノイローゼ気味になってしまう事がしばしありました。

高校に入学したての頃、部活で最初は私も仲が良かったものの、恋の相談をされた時、あまりのネガティブさに嫌気がさし、段々とSと一緒にいなくなりはじめ、クラスでのグループも違ってた事もあり、卒業後もずっと疎遠になっていました。




今回Sが悩んでた事は交際相手との事だったそうです。

Sは高校を卒業後、専門学校に進学し、そこの先生と恋に落ちたそうです。
しかし、その先生は既婚者だったので、いわゆる
[不倫]
をしていたらしいのです。
Sにとって、とても辛かった事と思います。
一途で純粋なSはいつかは私だけのものになると信じていたと思います。
しかし、最近上手くいってなかったらしく、別れ話がでたのです。
Sは…精神的にボロボロになっていたのに違いありません。





亡くなった当日、その日も家でお母さんとその事について話し合っていたそうです。

お母さんは、《Sは話し合いで落ち着きを取り戻した》と思った…と話していました。

母『じゃ、お母さんこれから夕飯作るから、部屋で少し休みなさい。
  出来たら呼ぶからね…。』


S『うん…』


そう言うとSは自分の部屋に行ったそうです…。
数十分後、夕飯が出来上がり、お母さんはSを呼びました。
しかし、Sからの返事はありませんでした。
そこで、お母さんはSを呼びに部屋に行きました……


そこにはロープで首を吊ってぶら下がっていたSがいたのです……




何で、何で、何で?????????????????????

あの時、吹っ切るって言ったのに………………




Sは自ら命を絶ってしまいました…。





私はお通夜に行き、Sに問い掛けました。


『何の力にもなれなくてごめんね…』と…


その頃、私も彼氏とはマンネリ化(3年)ということもあり、あまり上手くいっていませんでした。
それだけにSの辛さと自分が重なって、自然と涙が溢れていました。

もしかしたら、波長の合った私にSOSを送っていたのかもしれません。

あの時急に泣き出した日の1週間後、そしてその時間がほぼ死亡推定時刻と一致していた事は後から知りました…。





【今月の頭に、この体験談を書いていたら、急にTVが消え、そして肩が重くなってしまい、途中でROMっていた所までは覚えているのですが…家の誰かが消してしまったのかもしれませんが…今思えば、その日はSの3回忌だったのです。
今回、Sの事を忘れない為にも、もう1度書いてみました。
これが供養になるかは分かりませんが、この場を借りて、Sの御冥福を心からお祈りします…。】

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