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□この話は「真冬様」が、
2009年7月13日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第二百二十八話
真夏の夜

オリンピック開催の前年、8月だったと思う。
今までに我が家でおかしな事は何度か体験していたが、中でもこれは一番恐ろしかった出来事。

自宅には私と弟だけがいた。
時間は夜11時前後だったと思う。
リビングのソファーでよく居眠りをする私は、その日も居眠りしていた。

弟が「おやすみ」と声をかけてきたので一度起きた。
言葉を返した私は、再びソファーで眠り始める。
しばらくして、物音がするので目を開けた。
音は全て聞こえる。

TVではいつも見ている番組が始まってるようだ。
しかし、部屋の中なのに霧がかかっているように視界が悪い。
寝ぼけているからだろうと、そこは不思議に思わなかった。
ただ、私が背を向けているキッチン周辺がおかしい。
キッチン前からボソボソと独り言らしきものが聞こえる。
しかし、内容までは聞き取れない。

「弟が水を飲みに起きてきて、寝ぼけてブツブツ何か言ってるんだろう」

と私は思った。

今度はスーパーの袋をガサガサとあさる音がする。
菓子パンなどを入れてある袋をあさってるようだ。
まだ半分眠っているような私に、その音は非常にうるさかった。
腹の立った私は弟に

「まだ起きてたの?」

と声をかけた。

返事がない。

シカトかとカチンときていると、今度はダイニングをグルグルと歩き回り始めた。
ますます腹の立った私は

「まだ起きてたのかって聞いてんの!」

と気だるい身体を起こそうとした。
全く動かない。

凍りついたと同時に、相手の動きが止まった。
血の気が引き、弟ではないと直感する。
再び身体を起こそうとすると、それは私の背後にいた。
もちろん気配しか分からない。
しかし何故か相手が


白装束を着た長髪の男


であることが分かった。
背中が燃えるように熱い。
私の真横に移動し、顔を覗こうとしてきた。


怖い!!!


必死に手を伸ばし、リビングのテーブルに手を付いたところでようやく起き上がれた。
いつもと変わらないリビング、キッチン、ダイニング。
TVもついている。
もちろん私以外誰もいなかった。

弟が爆睡しているのを確かめ、急いでベッドで床についた。
はっきり姿、顔を見ていないのにどうして弟ではない白装束の長髪男だと分かったかは自分でもよく分かりませんが…。
ちなみにその日、両親は親戚のお葬式で留守でした。


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