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□この話は「オズ様」が、 2008年12月26日に投稿して下さった作品であります。 |
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■投稿作品第二百十六話 留守番 |
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これは私が体験した…と言うより、ほとんどは私以外の友人全てが体験した話です。あまり怖くはないかもしれませんが…。 私は、高校を卒業した後、進学のため実家を出て八王子市で憧れていた一人暮らしを始めました。八王子という場所は、知っている人も多いと思いますが、かなり心霊現象の多い場所です。何故かは知りませんが…。 新しい暮らしにも慣れ、新しい友人もできました。 同じクラスの友人、サークルの友人、バイト先の友人…と。 そんなある日、学校で一人の友人が私に言いました。 「昨日、お前の家に行ったんだけどさ、女の人が出てきて『出掛けてる』って言われたよ。ずいぶん陰気くさい女性だったけど彼女??」 当時、私は付き合っている女性はいたのですが、遠距離恋愛だったので滅多にアパートに来ることはありませんでした。ついでに言うと、可愛らしく非常に明るい子だったのです。 「知らんなぁ…部屋間違えたんじゃねぇの?」 と、その時は答えたのですが…。 また別の日、先日とは違う友人にも似たような事を言われたのです。 「お前の家に電話したら、暗い女が出て『出掛けてる』って言われたけど、どこ行ってたんだよ?」 それから、何度も何度も同じような話を聞かされました。 友人たちに騙されているんではないか?と思われるかも知れませんが、まったく違うグループの友人も同じようなことを言うのです。 仕舞には、高校時代の友人や、両親までもが同じような事を言い出す始末…。 当時は、携帯電話なんか一般には普及されていない頃の事です。 新品で買ってきたカーペットの上に、尋常じゃないほど長い髪が落ちている事もしばしば。その頃、確かに私も髪が長かったのですが、2倍以上の長さはありました。さすがに 「こりゃ、おかしいかな…」 とも思いましたが、幼い頃からこういう現象に変に慣れてしまっているところもあり、まぁ留守番してくれているからいいや…って位に考えてました。 実際、私が部屋にいる時は別に何ともありませんし、友人が遊びに来ても、電話してきても、何事もないのです。 私自身、何かイヤな場所に来たり、見てしまう予兆のような時には、左右どちらかの肩が異常に痛くなり、背中の毛が全て逆立つんですが、最初引っ越してきた時やその後も一切その感覚がないのです。正直、 「やたら暗い女と付き合ってる」 と言う噂が立ってしまった以外、何の影響もないですし、ちゃんと留守番してくれているので、私的にはまったく問題ありませんでした。 そのうち、友人たちも慣れてしまったようです。 ある夜、友人たちが集まってきて、徹夜で麻雀をする事になりました。 私も含め友人たち全員タバコを吸うので、何度か空気の入れ替えをしないと、部屋の中が靄がかかったようになってしまいます。 夜中3時過ぎくらいでしょうか…。少し休憩しようと数名で霞がかかった部屋から出て、新鮮な空気の中でタバコを吸おうとベランダに出ました。 ふと、下をみると(私の部屋は2階の角部屋でした)道の反対側から、こちらをジッと見上げている人がいます。 あまり視力がいい方でもないのですが、あきらかに暗い感じの女性でした。それを見た友人たちが 「あ〜、あの女だよ。オレらが集まっちゃっているから外に出てくれてんだねぇ。悪い事したな…」 後にも先にも、私が姿を見たのはそれ1度だけでした。 そんな感じで数年が過ぎたある夜、風呂に入っていました。 頭を洗っている時、突然背中の毛がザワッとしたんです。 確実に真後ろに立たれています。 「やべぇかな・・・」 と思いましたが、こちらは素っ裸の上に、頭は泡だらけ…。でもって、完全に背後を取られてしまってます。 とりあえず開き直って、泡だけでも落とそうとお湯をかけ洗い流しました。 目を開けてみると、もうすでに背後の気配はありませんでした。 ホッとしたのもつかの間、風呂桶の下から何かが出てきたのです。正確には流れ出てきた…でしょうか。 それは、尋常じゃない量の長い髪の毛と…その上にちょこんと乗っている真っ赤に錆びた剃刀でした。 こんな何年も住んでいて、なんで今更こんなモンが流れてくるんだろう。そして、以前この部屋では何があったんだろう…。 知ってしまうと気持ち悪いですし、引っ越すほど金に余裕もないので 「見なかった事にしよう」 と、しぶしぶ髪の毛と剃刀を片付けました。 その後も2年ほど、その部屋には住み続けました。 結局、なんだったのか今となっては知る由もありません。 そのアパートは今もそこに建っていて、誰か別の人が住んでいるようです。 あの女性は、まだ留守番をしているんでしょうか…。 |
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