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□この話は「ハギリ様」が、 2008年10月7日に投稿して下さった作品であります。 |
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■投稿作品第二百十二話 エレベーターの少年 |
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これは私が実際に体験した話です。 私は都内の某マンションで一人暮らしをしていました。 そこは良い物件で、駅も近いしオートロック付きのセキュリティもしっかりした、15階建てのマンションでした。 私は入った当初、すごく気に入っていたのですが、そのマンションについていたエレベーターだけはあまり良い気分がしなかったのです。 エレベーター自体はすごく真新しい感じだったのですが、中に入ると右側に子供の大きさくらいの赤黒い染みがあったのです。 その染みもなのですが、妙に重苦しい雰囲気がしたのです。 しかし私は、霊感とかそういうものには縁が無く、気のせいだと思っていました。 ある日、仕事で遅くなり、マンションに着いたときには午前3時をまわっていました。 私の部屋というと10階にあるので、エレベーターで上がるのが普通でした。 いつものようにエレベーターのドアを開け乗り込みます。 いつもなら誰かが乗っているのですが、さすがにこの時間は人っ子一人いませんでした。 10のボタンを押し、10階につくのを待っていました。 しかし、2階でエレベーターが止まったのです。 「あれ?こんな時間に乗ってくる人いるんだな」 そう思い、少し奥のほうに移動しました。 しかしドアを開けてもそこには誰もいません。 「あれ?間違って2のボタン押ささったのかな…」 そのままドアは閉まり、上へと向かいました。 しかし、今度は3階で止まったのです。 ドアが開きます。しかしやはり誰もいませんでした。 「オカシイ…故障でもしたか?」 今思えば、ここで降りておくべきだったのかもしれません。 でも、この時は仕事で疲れており、階段で行くのが面倒だったので、そのまま乗り続けました。 そして、3階でドアが閉まりました。 途端にエレベーターの階のボタンが全てランプが付いたのです。 さすがに気味が悪くなりました。 ランプの全てが付いてしまったということは、全ての階に止まることになります。 4…5…6…7…8…9…… と、何事もなく通り過ぎて行きました。 (やはり故障なのか…) そう思いつつ、やっと10階に来ました。 「ふぅ…やっと降りられる」 そう思って降りる体制になりました。 と、10階にはエレベータが止まらなかったのです。 そのまま通り過ぎて最上階の15階でドアが開きました。 この次点で私は鳥肌が立ってしまいました。 15階は人が住む住居階ではなく、ただ屋上への階段と長い廊下が見えるだけでした。 ドアが開くと真っ暗で、先が見えない廊下がとても不気味に見えました。 早く閉まらせるために閉のボタンを何回も押していました。 と、真っ暗な廊下の先に動くものが見えた気がしたのです。 こういうときって人は怖くても見たくなるのですね。 私は目を凝らしてその動くものを見ようとしていました。 だんだんソレがハッキリと見えてきたんです。 ソレは子供くらいの影なんですけど、手が異常に長いんです。 それに光が当たっているというのに真っ黒なんです…。 そしておもいっきり長い手を振りながらコッチに走ってきてるみたいなんです。 私はあまりの恐怖に声も出ませんでした。 と、エレベーターのドアが閉まったのです。 そのまま10階で止まりました。 「助かったぁ…」 そう思いつつ降りようとしたときです。 さっき最上階で見たソレがいたのです! さっきよりも近い位置に…。 再び私は恐怖で凍りつきました。 そのままエレベーターは閉まり、9階でドアが開きました。 …! ソレは下の階に行けども行けども、いるんです。しかもだんだん近づいてきてるのです。 人はあまりの恐怖になると失禁するって言いますけど、私はもすでになっていました。 何階まで降りたのでしょう…。 そんなこともわからないままついにソレは目の前まできていました。 次の階で確実に来る… 私は涙を流しながら叫んでいました。 「いいかげんにしろ!!!」 気が付いたら一階についていました。 フラフラになりながら、倒れこむ感じでエレベーターから出ました。 咄嗟にエレベーターのガラス窓を見たんです。 そしたらソコには髪が少し長めの少年でしょうか?物凄い形相でコッチを睨みつけながらエレベーターは上の階に上がっていきました…。 そのとき、ふと腕時計を見てみてると、自分がエレベーターに乗ってから、まだ2分と経っていなかったことに気づきました。 私には数時間にも感じられる恐怖体験でした。 このこと以来、引越しをしてエレベーター無しの5階建てマンションに移り住みました。 一時期精神病院にも通いました。 今でもエレベーターが怖くて乗れません。 あの少年の顔が忘れらないのですから……。 |
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