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□この話は「hok様」が、
2008年4月5日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第二百四話
猫を轢いて

このお話は、北海道にいる私の従兄弟が体験したお話です。

当時、同棲していた彼女と夜遅くに何処に行くあてもなくドライブに出掛け、最初は彼女と

『どこ向かおうか?』

『温泉にでもいってみる?』

『それいいね〜』

『じゃぁ朝風呂なんてのもいいね〜』

などとお互い色々と会話が弾みながらドライブを楽しんでいたそうです。
何時間走ったのでしょうか、夜中ということもあり、彼女との会話も無くなり、何時しか彼女も眠ってしまいました。周りには民家も無く、信号機も無い大きい道がただ真っ直ぐに伸びているといった道路をひたすら走っていたそうです。

さすがに従兄弟も眠気が襲ってきて半分意識が無い状態で運転していました。
その時

『ドンッ!』

と車にすごい衝撃を受け、びっくりしてブレーキを目一杯踏んだそうです。
意識がもうろうとしていた状態での出来事だったので、何が起きたのか全く理解が出来ぬまま、車を降りて後ろを見ると、

ほとんど原型をとどめていない猫

がいました。従兄弟は猫を轢いてしまったのです。
今まで猫を引いたことなど当然無く、その時は懺悔の念に駆られ


『可哀そうな事をしてしまった…ごめんね、ごめんね』


と心に思いながら、一刻も早くその場から離れたいと思い車に戻ったそうです。
何分位走ったでしょうか、かなりの衝撃を受けたのにもかかわらず、全く起きる事無く眠っていた彼女を見て、なぜか怒りが込み上げてきたらしく、彼女に

『おい!起きろよ!』

と声を掛けたのですが、全く動じません。
よくそこまで熟睡できるもんだな〜と思いながら独り言(文句)をぶつぶつと言っていると、彼女が突然!ガバッ!っと起き上がり、従兄弟を鋭い目で睨みつけ


『ニャァァァァァァ!!!』


と叫びバタッ!と意識が無くなるように倒れたそうです。
それには相当驚いたらしく、直ぐに車を停め彼女を揺さぶりながら起こして


『何でいまニャァァァァァって叫んだんだ?』


と聞いたところ、彼女はポカ〜んとしたまま


『何言ってるの?私、何か言った?』


と全く覚えていなかったのです。
その返答に、従兄弟も一気に血の気が引いて全身鳥肌が立ったのを覚えているそうです。彼女に起きた状況を説明したところ、彼女は


『昔、祖父からだったか亡くなっている動物を見たら決して”かわいそう”とか思ってはいけないよ!と言われて、なぜ?と彼女が聞いたら祖父は、かわいそうと思うとその人に憑いてくるんだよ!』


って言われたそうです。
その後、何も起きなかったらしいのですが、今でも車に轢かれ亡くなった猫を目撃しても決して“かわいそう”とかは思わないようにしているそうです。

私も“かわいそう”とかは、思わないようにしているのはお察しのとおりですが。


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