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□この話は「ゆた様」が、
2002年3月31日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第十九話
怒りに満ちた声

その昔…
六○木でも有名な、某ディスコ(今はクラブというらしいですが)の天井が落ち、死者が出るという“悲惨な事故”が起きた事はご存知の方も多いと思います。

当時学生だった私は、18時から21時くらいまで学校帰りにディスコに通う毎日を過ごしていました。
“悲惨な事故”が起きたのは22時か ら23時前後の事だったと思います。
そう、その日は私はそのディスコに行っていたのです。





当時のディスコは“パラパ ラ”が流行っていて、自作の“パラパラ”(先ごろの流行では統一されていましたが、 当時は店ごとに違っていました)や、“ヒップホップ”を調子にのって踊っていました。
私の行っていた時間帯は、まだ人がまばらでしかなく、横で年上風の“お姉さん”が踊っていて、その踊りを見て私達は


「やだ…ナルシストだよぉ。変な人がいるぅ…」


と囁きあって馬鹿にしたのを覚えています。





そして後日…

今まで通いつめたディスコで“悲惨な事故”が起きた事は、もちろん仲間の誰もが知っていました。
行き慣れたディスコが無くなってしまったので、

「別のディスコに行こう」

と仲間で繰り出した、その道中でのこと…

私は先日一緒でなかった仲間に、その“悲惨な事故”現場での話を自慢気に話したのです。(今思えば心無い行為ですが)



「この間、天井が落ちちゃったディスコあったでしょ…あの日、私達も行ってたんだよねぇ。」



事故のあった場所にいたというのは、ある種武勇伝のようなところがあり、意気揚揚と仲間に話していました。



「その時さぁ、ナルシストっぽい変な“お姉さん”がいて…」



その時に見かけた、私達が馬鹿にしていた女性の事を話かけたその時… 前から歩いてきた“外人の集団”の中から…



「何、喋ってるんだよっっ!!」



と、日本語でハッキリと怒りに満ちた女性の声が聞こえました。
でも、その一団に女性はいないのです。
しかも前から来た人にそんな話を聞かれる訳もなく…。

次の瞬間、隣を歩いてい た同級生が

「もう帰ろう・・・」

としゃがみこみました。
彼女いわく



「怒った人 に囲まれている」



ということでした。

私達はその日はディスコに行かず、そのまま帰宅しました。



今でも、六○木の公衆便所には出るという話です。


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