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□この話は「K県加治木町民19歳様」が、
2007年7月17日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第百八十九話
葬祭所

これは、僕がまだ中学2年の時に体験した体験談です。

僕は、小さい頃から運動オンチでなのに、運動は大好きという変な子でした。
そんな僕は、体力をつけるために毎日走っていました。いつもだと明るい住宅街や県道など、とにかく明るい場所を走るのですが、その日は兄も一緒に走ると言い出したので、兄の進むままに一緒に走ることにしました。

コースは兄が昔に走っていた山の周り一周。流石に山の周りともなると、回りに家は無く田んぼばかりで、街灯は殆どなく、半分ほど走った頃には全く無くなってしまいました。

車さえ通らない山道で、「やっと半分かなぁ」と思いながら走っていると、ふと目に

「白い光」

が目に入ってきました。妙に感じ足を止めると、兄もそれに気づき、なぜかジャンケンで負けたほうが、その「白い光」が何なのかを確かめようという話になりました。その結果、案の定と言いますか、僕が負けてしまい確かめに行くことになりました。

「白い光」の場所は、田んぼを挟んで100mほどいった向かいの山でした。木の高さや距離などから見て、地面から2mぐらいの高さを、「白い光」は浮かんでいるような感じでした。

僕はその「白い光」に徐々に近づいてきました。しかし、いくら進もうと、何故かその「白い光」には一向に近づけません。どうやら少しずつ移動しているみたいです。
100mほど進み、やがて発見した時に浮かんでいたと思われる場所まで来たのですが、「白い光」はさらに向こうに浮かんでいます。

「もういいや」

と思い、兄の居る方向に振り返った瞬間のことです。僕の後の方で


「ドサッ」


と何かが落ちたような物音に僕はビビり、ダッシュで兄の元へ帰りました。兄が

「何かいた?」

と聞いてきましたので、さっき起きた出来事を話すと、兄は驚いた表情でこう言いました。

「おまえが50mぐらい進んだ時には白い光は消えてたよ」

僕は恐怖に陥りました…。

僕が恐怖に震えているのをいいことに、兄は自分が体験した恐怖体験を話しながら走り始めました。もう聞くのも嫌だったので、兄の話は無視して走っていると、目の前にトンネルが見えてきました。めちゃめちゃ暗いトンネルで、闇になれた目ですらどこまで続いているのか分からないくらいの暗さです。

そのトンネルをダッシュで通りぬけると、先ほどよりさらに長そうなトンネルが、僕らを待ち構えていました。どうせ見えないなら、何かを見てしまう前に目を瞑ってトンネルを抜けてしまえと思い、目を閉じ一気に駆け抜けました。

目を開けると、左手に田んぼ、右手に草むらや建物があったのですが、妙に嫌な感じがしました。良く見ると、その建物は

廃墟になった葬祭所

のようでした。妙に感じつつ、その建物を見ていると、窓のところに

オジサンらしき人影

が映ったように見えたが、気のせいだと自分に言い聞かせて、その廃墟の横を通りすぎました。すると、右手には草むらが一面に広がっていたのですが、それでもまた嫌な感じがしました。そのときのことです。


ガサッガサッガサッ


と、草むらの奥の方からこっちに向かって、草が激しく揺れるのが確認できました。兄はダッシュして、はるか向こうに行ってしまったのですが、僕はビビッてしまい、その場に留まってしまいました。草は激しく揺れ、物凄い勢いで近づいてくる…。


「来るな。来るな。来るなっ!!」


僕は思わず叫んでしまった。


「ガサガサガサガサガサッ…………シーン」


僕の目の前、あと数十cmのところで、草の動きは止まりました。

「ダッシュだダッシュで逃げよう」

そう頭の中で決めたとき、草の方を見ていて全く無警戒だった左の方の耳元で、中年っぽい男性の怒鳴り声で


『おいっ!!』


僕は


「やばいやばいやばいやばいやばい!!!」


と思いダッシュしました。ダッシュと同時に、草むらも再び激しく揺れながら、移動する僕に付いて来る…。僕はパニックになりながらも、無我夢中で走りぬけ、兄が待っていた街灯の下まで辿り着きました。後ろを振り返ると、さきほどの草むらは、はるか向こうで何も無かったかのように静止していました…。その後、僕を置き去りにした兄に腹を立て、無視して家に帰りました。

家に帰ってから、兄が話し掛けてきたのですが、その内容が、実は兄も同じ場所で恐怖体験をしたというのです。その内容は、兄が昔一人で同じ場所を走っていると、誰かに服をつかまれ振り返ると、そこには両足の無い女の子がいて


「一緒に遊ぼう」


と囁かれたそうです。兄は、あの時の僕と同じようにダッシュで逃げると、


「逃げても無駄だよ」


と嘲笑うような声で言われたとことです。しかし兄は、それを何故か笑いながら話していたので、思わず

「おまえ馬鹿なんじゃねぇのか?」

と僕は心の中で呟きました。恐怖心から解放され安心すると共に、やりようの無い怒りを覚えつつも、僕はそれを心の奥にしまいました…。

以上が僕の体験談です。この話意外にも、ほかにも沢山体験しているので、時間があれば紹介したいと思います。皆さんも、嫌な感じがしたら気をつけて下さいね。

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