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□この話は「ゆっけ様」が、
2007年2月28日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第百八十四話
中学時代の修学旅行での出来事です


私が中学生時代、修学旅行で体験したものです。

中学時代、私達は平和学習のために長崎へ修学旅行に行きました。
他の学校はディズニーランドだのユニバなど、楽しめる所に行ってる中私達の学校だけ真面目に平和学習をするという事で長崎への旅行はあまり喜びを感じてはいませんでした。

さらに私たちのテンションを下げる出来事がありました。
それは、1日目に泊まる旅館でした。
外見がとにかく古いのです。
普通、修学旅行といえば結構綺麗なところに泊まる!というイメージでしたが、それがいっきに崩れるくらい、外見の悪い旅館でした。

…正直、いかにも出そうだなぁとまで思うくらいでした。
そしていざ旅館に入ると、中は外見ほど古い感じではなく少し安心しましたが、私たちの泊まる部屋に行くと、目を丸くさせました。
私たちが就寝する側の窓からはなんと墓地が見えるのです。
長崎で墓地…今時現役中学生です。
どうしてもあらぬ方向にしか考える事ができませんでした。

1日目を終えて就寝時間になった時、私たちはまだ全然眠くなかったので、部屋の電気を消し懐中電灯で見回りの先生達にばれないようにトランプで遊んでいました。
しかしそのうち、何人かの子が眠くなり始めたので、20分くらいして、トランプを止めることにしましたが、私ともう一人の友達は全然眠たくなかったので、そのまま声を潜めて喋っていました。

しばらく話していると、私はトイレに行きたくなったので、その子と一緒に見回りの先生の目を盗んでトイレに行きました。
トイレの中も広くて綺麗で、正直本当に外見だけで中身を判断してはいけないなぁと思いつつ、友達と一緒にトイレを済ましました。

そしてそのまま、トイレでまたおしゃべりをしていました。
話が盛り上がった頃くらいでしょうか。
扉の向こうから、こちらに向かってくる足音が聞こえ始めました。

「やばい、先生来たんとちゃう!?

トイレの電気がずっと付いているから、不審に思ったんやで」

「とりあえず、足音見計らって、今ちょうどトイレから出てきたようにしよう!」

幸いにもトイレの扉は上の方が正方形の硝子が貼られており、はっきりと顔は見えませんがシルエットは見られます。
私たちは足音がさらに大きくなり、そしてシルエットが見えると、さも今トイレを済ましたかのように洗面所で手を洗っていました。

しかし、いくら待っても先生は入ってきません。シルエットは未だ写っています。

「もしかして待ち伏せしてんちゃうん」

友達がそういうので、私は演技をしながらトイレの入り口のドアを開けました。
すると、ドアを開けた先には誰もいないのです。
暗い廊下が続いているだけでした。
疑問に思って辺りを見回しましたが、先生の姿は見当たりません。

「…先生、おらへんで?」

「まじで?…ま、おらへんねんたらいいやん。

もうちょっとだけ話していこうや」

その時は本当にどうでも良くて、そうやね〜と笑って、また友達と喋っていました。
すると、また奥から足音が聞こえてきました。
さすがに長いことトイレにいるので
怒られる前に出て行こうと。
どうせならばったり出会って「トイレに行ってました〜」って言ってそのまま部屋に戻ろう、ということになり私たちはまたシルエットが写るのを待っていました。

シルエットが写ると、友達がドアを開けました。
すると、また目の前には誰もいないのです。
シルエットはちゃんと写っていました。
可笑しいのです。
シルエットが写ってすぐにドアを開けたのに、誰もいないのです。
その場からいなくなるとしても、歩いているわけですから先生の後ろ姿が見えるはずですし、第一足音が聞こえるはずです。

「どういう事やの…?」

そう言って友達は私の方を見ました。
その瞬間、友達は大きく目を見開かせました。
私も不思議に思って、振り返ると…目を見開かせました。
鏡に映っている窓から、ぐちゃぐちゃに瞑れた顔の人が、べちゃっとなりながら私たちを見ているのです!!
声にならない悲鳴を上げました。
私たちは鏡に写っている窓を見ました。
しかし、その窓にはぐちゃぐちゃの人は写っていませんしかし、鏡から見るとその人は間違いなく写って、私たちを見ています。

私たちは怖くなって、すぐにトイレの電気を消して自分達の部屋に戻りました。
勢いよく部屋のドアを開けて閉めたので、寝ていた友達達も起き始めてしまいました。


怖かった…すごく怖かった…!


そう思って、ちらっと部屋の鏡を見ました。
すると、その部屋の鏡から写っている部屋の窓から、あのぐちゃぐちゃの人がまたいたのです!!
どうしていいのかわかりませんでした。
部屋で寝ていた子は、鏡から窓を見ても何も写っていないといいます。
私と友達だけが、その人を見えたのです。
この事以降、その旅館を出るまではずっとその男の人が鏡越しの窓から見えていました。

2日目は別のホテルに泊まったのですが、もうその人を見ることはありませんでした。


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