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□この話は「百華様」が、
2006年7月2日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第百七十四話
だぁれ?


これは、私が小学生だったときの話です。

女の子のくせにやんちゃだった私は、いつも男の子とサッカーをしたり、虫取りをしていました。

その日、私はいつものように男のこたちとサッカーをしていて、ボールが変なところへ飛んでいったので、私がとりに行きました。
探してもなかなか見つからなくて、男の子達も捜してくれました。

木の陰に、ボールはありました。
ほっとしてボールを拾い、顔を上げると、おばあさんが一人立っていました。
薄い緑色の着物を着た、白髪頭のおばあちゃんは、ただただ私を見ていまいた。

今日は参観日でもないし、如何したのかなぁと思い、


「おばあちゃん、だぁれ?」


あまり怖いとも思わず、声をかけました。
おばあちゃんは何も言わず、寂しそうに微笑んでいました。

そのとき、私は背中に寒気を感じてその場を離れようとしました。
が、足首を何かにつかまれたような気がして、足元を見ると、
白い手が私の足首をつかんでいました。

私は声も上げられず、その手を見ていました。
だんだん手に力がこもってきて、痛くなりました。
それでも動けませんでした。
ぐいぐいと引っ張られるような気がして、やっと逃げなきゃと思い、足を引きました。
なかなか離れなくて、涙が流れたのを覚えています。

ポロリと涙がこぼれたとたん、手が消えました。
引っ張られる感覚がなくなったので、私は後ろに尻餅をつきました。

ばたばたと男の子達が走ってきて、泣いている私にびっくりしたようですが、ある男の子が私の話を聞いて言いました。



「…連れて行かれなくてよかったね」



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