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□この話は「チネルトロル様」が、
2006年4月4日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第百六十六話
次はなんだよ?


母の実家があるカナダに引っ越してから2年ほどたったある日の事です。

外は雲一つない気持ちのよい日で、試験を控えていた僕以外の家族全員が昼に外出していた。
その時点で家に残っているのは僕とケージに入っているうさぎの2人(?)だけ。
音楽をかけて必死の思いでごまかそうとしてはいたが、人並み以上に臆病な僕にとっては一人で留守番というのはみなさんの言う肝試し位の位置付けであって恐怖のイベントなんです。
勿論その時、必要以上に怯えていたのは言うまでもありません。
勉強に区切りをつけ、地下にある兄の部屋で家族を待つがてらにゲームでもしようと思い、ダッシュでキッチンを抜け、階段を段飛ばしでおり、わずかに陽の入る兄の部屋に駈け入りました。

その時、あまりの恐怖で普段閉める扉を閉め忘れてしまったのですが、とても閉めにいける状態ではありませんでした。なぜかというと

「誰かがいるかもしれない」

という不安に押し殺されていたからです。
ただ何もおこらないようにとそこで祈り、PS2の電源を入れてSTART。
その家の地下は一階とは異なり、日の光も大して入らず、とても湿気のある場所で普段から気味悪がって近寄りません。
特に奥なんかは……(ちなみにここで心霊写真=顔らしきものを弟と撮った)。

30分した頃にようやく落ち着きを取り戻し始め、今まであった恐怖も薄れていき、その1時間後には頭はゲームの事だけになっていた。
すると、天井辺りから下へ向かって、まるで僕に不意打ちをかけるかのように


「ドン、ドン、ドン、ドン、ドン!!」


思わず椅子に腰掛けていた体がとぶ。あの時は死ぬほど驚いた。
体が凍りつき、頭の中はあらゆる思考が飛び交い混乱状態そしてある事に気づく、

「まてよ?この音に聞き覚えがある。そう、さっき急いでおりてきた時のような階段を駆ける音。決して壁を叩く時のような鈍い音じゃない…(考え中)…扉…」

頭を動かすどころか、体は微動だにしない。
唯一残された個所は目だった。
この状況を見極めるためには己の目しかなかった。
自分の目が怖いほど見開いているのがわかるほど神経は恐怖のなか、研ぎ澄まされていた。
自分でも気づかないうちに目は視界の端を捉えていた。
緊張の一瞬…。


誰もいない。


自分の中で張り詰めていたものが破かれた瞬間、兄の部屋の入り口を通り過ぎる白い物体を無意識のうちにとらえた。
次から次へと襲い掛かる恐怖を前にパニック寸前。
体の隅から隅まで凍りつき、家族が帰ってきた午後の4時までのおよそ1時間半の間硬直しきっていた。

後であの出所不明の音と謎の白い物体について考えてみた。
唯一同じ家にいたうさぎはケージの中にいた。
ちょうどその日にケージを洗ったのでふたをし忘れた事は絶対にない。
万が一のことがあっても軽いうさぎが階段をおりるときにあれほどの音を出すとは考えにくい。
そしてあの白い・・・・・なんだ?
光といったあやふやなものではなかった。
あれはまるでウェディングドレスを着た女性が走ったときにあの長いスカートが時間差でスルスル追いかけてくるような。
そのスカートのごく一部分を確認した。
うちの母方の祖母が違うドレスで現れたのだろうか?
それにしても怖かった。


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