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□この話は「ぎーす様」が、
2005年5月29日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第百三十八話
山道

これは私が高校生のときの話です。

夏休みを利用して私と友人の三人で自転車で旅行していました。
山道はきついので、 歩きながら地図をみていた友人が

「この道が近道だよ」

というので、舗装された道から砂利の道へと入っていきました。
まだ午前中だったの でさほど心配はしていませんでした。
その道は昼間とはいえあまり明るくありませんでした。
知らない道なので最初はなんとも思っていませんでしたが、だんだん不安になってきて地図をみんなで何度もみな がら進みました。

途中で小さな空き地らしきところがあったので、そこで休憩をとっていたそのとき

「どこからきたの?」

という女性の声がしたので、みんなびっくりしてその声がした方をみると、いつの間にか女性がたっていました。
そのときはみんな不安になっていたので、地元の人だと 思い安心していました。
友達の一人が

「新潟からです」

と答えると、その女性が

「わたしはここの村だけど、こんな山奥で一人で山道歩くのは怖かったの。よかったあ」

といって笑いました。私が

「この道いくと国道に出られますか?」

と聞くと、その女性が

「出られるけどかなり距離あるわよ」

といわれたのでみんななんだか不安になり来た道を戻ることにしました。
もちろんそ の女性も村へ帰る予定だったので一緒に行きました。
その女性は20代でもうすぐ結婚 するといっていたのを今でもおぼえています。

その後、舗装された道路まで一緒に戻ってきた私たちは、そこで女性と別れました。
私たちは道を確認しようと地図を見ながら村の人をさがしました。
ちょうどあるお宅の前におじさんがいたので、話しかけて道を聞いていたそのときでした。

私はある張り紙に目がいきました。
するとあの山道であった女性が尋ね人になっていたので、おもわず

「あっ 山道で会った女の人だ」

とさけび、みんなもその張り紙をみて驚いていました。
するとおじさんが、


「この女性をみたって?そんなわけない。この人は先月殺されてこの先の山道で発見されたんだから。
この張り紙は剥がしたはずなのに剥がしわすれたかなあ。」

といわれ、みんな呆然としていました。
友達の一人が

「双子なんじゃない?」

というと、おじさんにそれは絶対無いといわれました。
そのおじさんに山道での話をすると、最初は信じてくれませんでしたが、4人全員が見て話しているので、最後には信じてくれました。

おじさんの話ですと、結婚間近だった女性が急に行方不明になって捜索していたら、あの山道で遺体となって発見され、犯人として村の若者が逮捕されたということです。

私たちはすぐにそこを立ち去りました。
今でも地元にもどってそのメンバーに再会するとその話になりますが、結婚するということをとても幸せそうに語っていた、あの女性の顔を今でも忘れられないとみんないっています。

怖いのですが、少し悲しい気持ちになりました。

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