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□この話は「千季絽様」が、
2005年3月28日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第百三十四話
水の音と

私が小学5年生のとき、市の日中友好協会なるもので中国に行きました。

1週間の滞在でしたが、最終日が近づいた頃、すこし“じめっ”とした感じのホテルに泊まることになりました。
万里の長城に登って疲れてたせいもあって、早めに寝ることにしました。

電気を消してベッドに入ると、隣の部屋か上の部屋かわからないけれど、


「ぴ、ちょん…ぴちょん…っちょん…」


と水の音が聞こえてきたのです。
2人部屋だったのですが


「水の音するねぇ〜」


って友達が言って、「早く寝よう」て話になったんです。
だけど、夜中まだ水の音がしてて、何かが変と思って目を覚ましたんです。

ぱっと身体を起こしてみると、ベッドを残して部屋全体が回ってるんです。
友達を起こそうとしても声は出ないし、身体もそれ以上動かない。
顔だけは動いたので、横を見てみると、窓とドアが緑とも紫ともつかない色で光っているんです。

パニックを起こしていると、烏帽子らしきものを被った男の人の


生首


が、いくつも私めがけて飛んでくるんです。
あんなにはっきり見たのは、それが初めてでした。


「いやっ!」


と手を振ったら動いたので、「今だ!」と思ってベッドに潜りました。




「寝なきゃ、寝なきゃ…」



と部屋はまだぐるぐる回ってる感じがしましたが、自分に言い聞かせて寝ようとしました。

しばらくするとそれが止み、体の力がふっと抜けたと思ったとき、また



「ぴちょん…ぴちょん…」



と音が…今度は耳元で。
合間に誰かが喋っている様な感じがして、じっとそれを聞いていました。
中国語のようでしたが、はっきりとは何を言っているのかはわかりませんでした。
しかし聞いた感じでは、私に何か問いかけてるような感じでした。

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