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□この話は「たか様」が、
2005年1月11日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第百三十話
肝試しの後で

こんにちは、初めて投稿させていただきます。
小学生の頃、ボーイスカウトのキャンプで経験した話です。

私の所属していた団体は、何故か夏キャンプでは必ず肝試しをします。
この年の肝試しコースはキャンプ場の脇にある狭い山道を100m程登り、上にあるこの集落の墓地の一番大きな墓石までいくというものです。
そこに用意された証拠をとってくるという課題つきですが、途中スタッフに驚かされ恐怖感はピーク。
証拠に手を伸ばしたところで、墓石に隠れていたスタッフがとびでてフラッシュを焚き、見事な記念写真になるという悪意を感じるほどのシナリオも用意されていました。

試すほどの肝の無い私もシナリオどおりに阿呆面を撮られましたが、極度のビックリもタネがわかると不思議と安堵感がでてくるもので、墓石の前にもかかわらず、スタッフにあくづいたり冗談をいったりしていました。

その時です…。
蝋燭1本とかすかな月明かりしかありませんでしたが、スタッフの後ろに白装束の女性らしきものが見えました。
言い方が変かも知れませんが、頭に三角の布をつけ、まるでドリフにでてくる幽霊の姿です。
目鼻立ちまでは見えないのですが、白くぼんやりと立っているのが見えました。



ぼんやりと…でも確かに…。



引率のスタッフには女性もいます。
私はてっきりその女性が仮装してそこにいるのだ、とびだすタイミングを逃してそこにたっているのだと思い込み、女性スタッフの名を呼び手招きをしました。



「お前、何いってんだ?」



男性スタッフが私に言います。



「またぁ、だって○○さん、後ろにいるじゃない」



「ねぇ〜、○○さん、もういいからこっちきなよ」



と私が続けると



「○○は今、宿舎だぞ。変な冗談はやめとけ」



と男性スタッフが振り返りつつ言いました。
暫く、私は呼ぶ、男性スタッフはいないと言うといった感じの問答めいた状態がつづきましたが、白い女性はこっちをむいたまま動きません。

肝試しは私で最後ではありません。後ろの子達もいます。
その子達に女性スタッフが隠れているのを、ばらされたくないんだなと私は勝手に納得をして、やり取りをあきらめスタート地点に帰りました。

宿舎に戻って確かめると、○○さんはずっと宿舎で出し物の練習をしていたとの事。
私はなんだか面倒になってこの事は忘れてしまいました。
なにせ、子供が夢中になる行事がまだ続きましたから。


やがてキャンプも終わり1週間ほどだったでしょうか、ボーイスカウトの集会所でキャンプの写真が張り出され、それを見に来た私にあの男性スタッフが、ちょっと真面目な顔で話し掛けてきました。



「お前、あの時なにか見たんだよな?」

「本当に俺の後ろに何かいたのか?」



何を今更と思いつつ、私は「そうだよ」と答えると、男性スタッフは苦い顔をして他のスタッフと話しています。
この時はなんの事かわからなかったのですが、後でみせてもらった肝試しの写真の内、数枚には


木々の間を縫って飛ぶ人魂


のようなものや、男性スタッフに絡みつく


霧状のもの



が写りこんでました。
この話は団体の中で暫く話題になったそうです。


その後、この年まで怖い思いや不思議な体験がいくつかありましたが、いまだお会いしたことはありません。
あの時みたのは幽霊といわれるものなのか、勘違いと偶然が織り成したものなのか今でも考えます。

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