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□この話は「じょうたろう様」が、
2004年10月14日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第百二十一話
真夏の夜のできごと

これは私と以前にお話させていただいた、いとこ姉妹(第百七話「ウェディングドレスの女」参照)が同時期に体験した話です。

それは10年前の夏のことです。
その日は夏休みで、自分の部屋でダラダラとテレビを見ていました。
時間は夜中の2時前後でした。
すぐ隣が両親の寝室になっているのですが、突然、だれかがその両親の部屋のドアを


コンコンコン


とノックする音が聞こえました。
それもはっきりと。
あきらかに3回ノックする音が聞こえました。
最初、下の階にいる祖母が来たのかと思い、しばらくそのままでいたのですが、両親が起きてくる気配もなく、また誰かの声がするでもありませんでした。
不思議に思い、ドアを開けて廊下を覗き込んだのですが、誰もいませんでした。

気のせいかと思い、またダラダラとテレビを見はじめました。
すると、また10分もしない内に、


コンコンコン


と隣をノックする音が聞こえてきました。
確認をするべきかどうか悩みました。
すると今度は、ドアが開き、ゆっくりと閉まる音が聞こえました。


「何だやっぱりばあちゃんか…」


と思い安心したのですが、1分もしない内にまたドアが開閉し、廊下を誰かが歩いていく音が聞こえました。
何だったんだろうと思いながらもその日は寝てしまいました。

翌朝、家族にその話をしました。
しかし、祖母も祖父も来ておらず、部屋に入られた当の両親も全く気付かなかったそうです。


「泥棒か?」


しかし、そんな様子もありません。
不思議に思いながらも、また変な怪奇現象ということで片付けられてしまいました。

その日の夜、1本の電話が鳴りました。
なんと秋田で一人暮らしをしていた曽祖父が、昨晩の夜中に脳溢血で倒れ亡くなっていたそうです。
一人暮らしだったために発見がおくれたのです。
推定時刻は、ちょうどあの時間でした。


誰かに気付いてほしくてやってきたのでしょうか…。


後日、葬儀が行われ、私やいとこ家族も集まりました。
そして、その席でのいとこ姉妹の話に私は驚きました。

ちょうど同日、同時間にいとこ姉妹も



誰かにドアをノック



されたのだそうです。
開けてもやはり誰もいなかったそうです。

みんなに気付いて欲しかったのか、それともお別れのあいさつに来たのか。
とても不思議な体験でした。


そういえば、あの日、

廊下を歩いていくあの足音は

どこか寂しげだったように思います。


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