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□この話は「じょうたろう様」が、
2004年8月12日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第百十話
エレベーターの女

高校生のとき、霊感の強い友達から聞いた話です。

この友人Mは、20階建てのマンションの17階に住んでいました。
ある日夏休みで遅くまで遊び歩き、帰ってきたのが夜中の2時をまわっていたそうです。
自宅の部屋に戻るため、エレベーターがくるのを待っていました。

時間も時間だけにM以外誰もいません。
しかし何となく気配を感じました。
それでも気にせずに降りてきたエレベーターに乗り込み、17階のボタンを押し、ドアを閉めました。
ちなみにこのとき乗ったエレベーターは2台ある内の手前側だったそうです。

このマンションのエレベーターはドアにガラス窓がついており、扉を閉めてもエレベーターホールが見えるようになっています。

何となくいやな感じがしたので、なるべく見ないように壁を背にして上へあがっていったそうです。


2階、3階と順調に上がっていきます。

5階、6階と上がっていく内に、目の端に何か気になるものがありました。

各階のエレベーターホールを通り過ぎるとき、ガラス窓の向こうに何か見えるのです。

8階あたりでそれに焦点を合わせました。

すると何とエレベーター外側の脇の壁から半分だけ顔をのぞかせた女が、エレベーターの中をじっと見ているのです。

しかも9階、10階とすべての階に、まったく同じ女が同じ格好でのぞいているのです。
しかしエレベーターを止めて中に入ってくる様子はない。
そう少し安心したのもつかの間、否が応でも17階で降りなければならない。

どうしようなんて思っているうちに16階を過ぎた。


「どうか消えていますように…」


Mは一人エレベーターの中で祈った。
その祈りが通じたのか、17階にゆっくりと到着すると、窓の外に女の顔はなかった。
エレベーターのドアが開く。

しかしもしかしたら、死角に隠れているのかもしれない。
そう思い恐る恐る首をのぞかせた。

(このときあまりに恐る恐るだったので、ドアに頭をはさまれたというのは笑い話。)

ゆっくりエレベーターホールにおりてみる。
しかしどこにも女の姿はなかった。
チャンスと思い、一目散に自分の部屋へかけていったが、その途中、チラッと振り返ると、今乗ってきたエレベーターの中に先ほどの女が乗っており、下へ降りていくところが見えたそうです。

その後、一人では絶対に、そのエレベーターには乗らなくなったということです。


ちなみにそのマンション。
地元ではかなり有名な自殺の名所となっているマンションなんだそうです。
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