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□この話は「テツ様」が、
2004年6月8日に投稿して下さった作品であります。
■投稿作品第百話
某有名心霊スポットで

これは今年(2004年現在)に私が体験した話です。
確か3月の終わり頃だったと思います。

その日、私は、友人と共にあるホラー映画を観に行きました。
午前11頃に映画館に着いたのですが、映画は午後8時からで、時間を持て余してしまっていました。
そこで、私達は、


「観るのホラー映画だし気分を盛り上げよう」


と、近くにある有名過ぎる某心霊スポットに向かいました。
そこは道路に面している所で、昼間に行ったという事もあり「怖い」という感じは全くしませんでした。

しかし、それでも、多少の緊張を持ちながら、私達は中に足を踏み入れました。
2〜3歩中に入った時です。
不意に私の右斜め後方から声が聞こえました。
息だけで喋っているような感じだったので何を言ったまではわからないのですが、後ろの方で聞こえた筈なのに、まるで耳元で喋られたかのような不思議な声でした。
それでも、そこが騒がしい場所であったという事で、空耳という事に落ち着きました。(真相は知りません)

そこは昔、「処刑場」だったそうで、斬った首を洗った


「首洗いの井戸」や「火炙り台」、「磔台の台座」


が残っていました。(何処だかバレバレ)

友人は何を感じるでもないようで、井戸の中を覗いたりしていました。
その中でも一番ヤバイと評判の「火炙り台」の前に来た時、私の背中に痛みが走りました。
少しの間、様子を見てみたのですが、痛みは一向に引きませんでした。
その痛みは、誰かに背中を強く指圧されているような感じでした。
さすがに「ヤバイ」と思った私は、その場を立ち去ろうとしました。



…動けない。



私の意思とは裏腹に、体が動いてくれないのです。
動けないというよりは「動きたくない」と思っている私が居るのです。


「これはヤバイ!!」


と思った私は、


「動かなくてはいけない!!」


と自分に強く言い聞かせました。
瞬間、私の足は素早く踵を返していました。

何処を歩いたかもわからないうちに、私は首洗いの井戸の前に立っていました。
火炙り台の前では、一人残してきた友人が呑気に写真を撮っていました。
教えようかとも考えたのですが、特に何も感じていないようなので、ほっておきました。(薄情)

その時でした。
私の目から涙が流れ始めたのです。
別に悲しい訳でも、どこかが痛いという訳ではありません。
ただ、無感情に流れてくるのです。


「おいおい、勘弁してくれよ」


と思いながら私はその処刑場跡から出ました。
そこで初めて私の異変に気付いたらしい友人が寄ってきました。
さすがに鈍感(ゴメン)な友人も「ヤバイ」と思ったらしく、そこから離れた所に誘導してくれました。

それから特に霊障があった訳ではないのですが、映画を観た後に、友人と駄弁っていた私のストラップが突如、切れてしまったのです。
それは私の誕生日に母がお店で作ってもらった物でした。
貰ってから一ヶ月程しか経っていなかったので

「何だよ!不良品かよ!」

と切れていましたが、後日、母が作ってもらった店に文句を言いに行くと、


「これはその子(私)の身代わりになったのです。その子が危険な目に合いかけていたのを、そのストラップが救ってくれたんです。」


と言われたらしい。
勿論、母には何も言っていない。
修理されて戻ってきたストラップは私の携帯に付いている。


「もしこれが無かったら…」


そう思うとゾッとします。
その処刑場跡は、今でも静かに佇んでいます。
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