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■第十六話
巡察中…

今から十年くらい前、私は某温泉地にある陸上自衛隊駐屯地に勤務していました。その駐屯地の裏手にはうっそうとした森があり、昼間でも誰一人近付く者は居ませんでした。

ある夏の暑い日、私は駐屯地警衛任務に着きました。つまり門番です。任務は異常なく進み、夜中の巡察の時間になりました。夜中と言っても、暑苦しい熱帯夜。戦闘服は汗だらけになり、喉もカラカラになりました。

うっそうとした森を抜け、柵沿いを巡察して、やがて階段が見えてきました。階段は真下に伸びていて、その向こうには北門が見えました。階段を降りようとしたその時、階段下の手摺に何か

白い塊

が見えたのです。よく梟が出るので、それかな?と思って近付くと、それは

生首

だったのです。髪の毛はざんばらで目はしっかりと閉じられ、口元には赤い血が流れていました。全身から冷や汗が吹き出し、生首の前を通過した途端、

カッと目が見開かれ、高笑いを上げながら飛び上がり、消えていきました。

後日、上司から駐屯地の場所には元々処刑場があり、多くの罪人が打ち首によって処刑されたそうです。事実、打ち首に使う刀を研ぐ為の砥石を填めこむ岩を、私は確認する事が出来ました。

・匿名さんの体験談
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